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 地球環境を守り、貧困を克服して、すべての人が平和と豊かさを享受できるようにする。

 そんな世界をめざす「持続可能な開発目標」(SDGs)が国連で採択されて3年。国内でも関心が高まっている。

 とくに政府の動きが目立つ。安倍政権は、全閣僚からなる推進本部を設けている。この6月の会合では「国家戦略の主軸にすえる」「SDGsで世界の未来を牽引(けんいん)する」とうたった。

 かけ声だおれにしてはなるまい。この国際目標の達成には、官民あげた取り組みが欠かせないが、政権の思惑先行の印象がぬぐえないのが懸念材料だ。

 少子高齢化のなかで成長への突破口に位置づけつつ、国際貢献の旗印にする。19年のG20首脳会議、20年の東京五輪・パラリンピックに向け、政権はそんな狙いを抱いているようだ。

 SDGsは、貧困や健康・福祉、教育、気候変動、まちづくりなど、17分野の169もの目標からなる。抽象的なテーマも多く、行政のどの施策も何らかの形でかかわるといえる。

 推進本部がまとめた行動計画には、「生産性革命」や「地方創生」などの言葉が並ぶ。政権が看板とする課題であり、今年度当初予算に盛り込んだ施策が予算額付きで記されている。

 問われているのは、SDGsの理念に沿って政策をどう見直していくかであり、既存の施策をPRすることではない。そのことを肝に銘じてほしい。

 政権の姿勢を疑問視するNPO関係者らは、独自の行動計画づくりに取り組んでいる。

 「誰一人取り残さない」とのSDGsの標語を踏まえ、まず貧困・格差対策を重視する。既存の施策を見直し、すぐ実行すべき事業、政府は手をつけていないが必要と考えられる事業など4段階に整理する。

 そうした作業を重ねながら、いずれ「持続可能な社会」基本法をつくる。そんな構想だ。

 NPOが動き出したのは、計画をめぐって政府の「言行不一致」が表れたからでもある。

 政府はSDGsを「広範な関係者が協力して推進する」として、NPOや大学、経済団体、国際機関などと、各省庁の担当者が集まる円卓会議を立ち上げた。ところが昨年末に最初の行動計画を決める際、円卓会議では触れないまま、その後の推進本部会合で打ち出した。

 行政と企業、NPOをはじめとする市民社会が対等の立場で力を合わせていく。それがSDGsの精神だ。政権の本気度は、民間としっかり手を携えるかどうかを通じても試される。

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