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 集団的自衛権の行使に道を開いた安全保障関連法の成立からきょうで3年。安倍政権は自衛隊と米軍の一体化を急ピッチで進め、新任務の「実績」作りに前のめりである。

 これ以上、既成事実を積み重ねるべきではない。安保法の見直しが急務だ。

 政権は、10本の法改正と1本の新法を一括し、わずか1国会で強行成立させた。このため、議論が積み残されたままの課題が少なくない。

 典型的なのが「国際連携平和安全活動」だろう。国連平和維持活動(PKO)でなくても、それに類する活動であれば、自衛隊の派遣が可能となった。

 この規定を根拠に、新たな動きが出てきた。政府は、エジプト東部のシナイ半島でイスラエル、エジプト両軍の停戦監視をしている多国籍監視軍(MFO)の司令部に、陸上自衛隊員2人の派遣を検討している。

 PKO参加5原則が条件とされるが、そのつど法律をつくらなくても、自衛隊が国連のお墨付きのない活動に従事できるようになったのは、大きな政策転換だ。にもかかわらず、国会での議論は不十分だった。

 なぜシナイ半島なのか。中東政策全体の中での位置づけも明確でない。実績作りのための「派遣ありき」ではないか。

 この3年、政権は安保法に基づく活動を拡大させてきた。海上自衛隊の米艦防護や南スーダンPKOへの駆けつけ警護の任務付与……。その多くは国民や国会の目の届かないところで行われてきた。一連の日報問題に象徴される防衛省・自衛隊の隠蔽(いんぺい)体質と文民統制の不全を改めることこそ優先すべきである。

 重要な問題を置き去りにしたまま、軍事優先の安保政策を推し進めるこの政権の姿勢には、強い危惧を禁じ得ない。

 対北朝鮮政策でも安保法を背景に日米で軍事的な圧力をかけ続けた。米軍が攻撃に踏み切れば、日本が巻き込まれる恐れが強い。それが本当に正しい政策なのか、再考すべきだ。

 中国が軍事拠点化を進める南シナ海でも、海上自衛隊の潜水艦と護衛艦が、対潜水艦戦を想定した訓練を実施した。中国への牽制(けんせい)が狙いだろう。公海での訓練に法的な問題はないとしても、緊張を高めかねない。外交努力と組み合わせた抑制的な対応が賢明ではないか。

 何より、安保法の違憲性は変わっていない。法の欠陥を徹底的に議論すべきだ。立憲主義と民主主義を取り戻し、安保政策を立て直す。政府の独断専行は許されない。

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