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 理解が得られないからといって、席を蹴るような行動をとっても、展望は開けない。

 先週の国際捕鯨委員会(IWC)の総会で、日本の出した提案が否決された。日本政府・与党からは、脱退を示唆するような発言も出ている。だが、短慮は慎むべきだろう。

 日本の提案は、(1)総会での提案可決の要件を現行の4分の3以上から過半数に緩める(2)商業捕鯨のモラトリアム(一時停止)を限定的に解除する――といった内容だった。

 IWCは、日本などの捕鯨容認国と、豪州などの反捕鯨国の間で、対立が膠着(こうちゃく)状態になっている。鯨を食料資源と見る立場と、極力保護すべき野生動物と考える立場との溝は深い。

 日本提案は、IWCの機能不全の解消を図る狙いを掲げていた。だが、商業捕鯨再開への意思と一体である以上、反捕鯨国側の支持が得られる可能性は小さいとの見方が強かった。

 案の定、賛成27に対し反対は41にのぼった。支持が増えなかったのはなぜか。見込みの低い提案をした狙いは何だったのか。総括が必要だ。

 日本への批判の大きな材料になっているのが、南極海などでの捕殺を伴う調査捕鯨だ。4年前に国際司法裁判所が「科学目的とはいえない」として中止を命令した。日本は捕獲頭数を減らすなどして再開したが、IWC総会での議論を待たなかったため、強い批判が続いている。

 今回の総会で決議された宣言も、商業捕鯨モラトリアムの重要性を再確認すると同時に、捕殺をともなう調査は不要と言及した。宣言に拘束力はない。しかし現在の調査捕鯨にこだわり続けても、日本の主張に対する理解が広がる可能性は乏しいのは明らかだ。

 総会を受け、斎藤健・農水相は会見で「IWCとの関係について、あらゆるオプションを精査せざるを得ない」と述べた。

 脱退を視野に入れているのだとすれば、賛同できない。国際的な枠組みに背を向けたときに失う信用の重みを考えるべきだ。さらに、国連海洋法条約は鯨の保存、管理、研究について国際機関を通じて活動すると定めている。脱退すれば問題が解決するわけではない。

 日本はIWCの管理対象外の小型鯨類について、沿岸捕鯨を続けている。資源管理に十分注意しながら、こうした捕鯨への国際理解を深めることに、まずは力を入れるべきだ。

 そのうえで、IWCの場でも理解される行動は何か、熟慮を重ねていく必要がある。

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