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 南北朝鮮は今年、ともに建国70周年を迎えた。節目の年に、全く新しい関係が切り開かれつつある。きのうの首脳会談は、それを如実に印象づけた。

 わずか5カ月の間に3回目の会談である。平壌での共同宣言は、戦争の危険の除去と敵対関係の解消などをうたった。冷戦の残滓(ざんし)といわれた南北が対立の歴史を乗り越え、和解を深めることは歓迎すべきことだ。

 ただ、同じ民族間の関係とはいえ、非核化問題を棚上げしては真の改善は望めない。この前向きな機運をさらに広げ、国際社会が抱く懸案の解消に向けて努力を続ける必要がある。

 金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長は文在寅(ムンジェイン)大統領を歓待した。空港の閲兵では北朝鮮の軍幹部が文氏を「閣下」と大声で呼び、初日に北朝鮮の心臓部である朝鮮労働党庁舎に招き入れた。

 かつて韓国を「米国の傀儡(かいらい)」として相手にしなかったことを考えると隔世の感がある。

 共同宣言は、鉄道・道路の連結や人的交流のほか、金氏のソウル訪問も盛り込んだ。南北融和の面では豊富な成果だ。

 ただ、経済協力の象徴である開城工業団地や金剛山観光の事業の再開には「条件が整えば」との前提が付いた。核・ミサイル問題で進展がない限り、北朝鮮への圧力を過度に緩めるべきでない。そんな米国の注文に、韓国が配慮したのだろう。

 文氏は南北融和をバネに米朝間の仲介をめざしている。その努力は続けてもらいたいが、「伝言外交」にはおのずと限界がある。根本的な核問題の解決のためには、米朝が正面から向き合わねば始まらない。

 北朝鮮は、米国が相応の措置をとれば、寧辺地区に集中する核関連施設を永久に廃棄すると約束した。相応の措置とは、朝鮮戦争の終戦宣言など、北朝鮮の体制保証につながる米側の対応を指すとみられる。

 これに米政府がどうこたえるかは見通せない。核施設の申告や過去に生産した核の放棄など、米側が求めている行動が盛られていない。「廃棄」の中身は限定的で、事態がすぐ打開するとは考えにくい。

 相手に先に求める行動をめぐり互いに譲らない。この現況を解きほぐすには、直接対話を重ねるほかない。ポンペオ国務長官らと北朝鮮側は、歩み寄りを探る協議を始めるべきだ。

 トランプ米大統領は共同宣言について「すばらしい」とツイートしたが、単なる賛辞で済ませてはならない。非核化と地域の安定のために、腰を据えた外交交渉を指揮すべきである。

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