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 制裁と報復の連鎖に、歯止めがかからない。

 米国は中国からの輸入品に対し、知的財産侵害を理由にした3度目の高関税措置を、24日に発動すると発表した。中国もすぐに「自らの正当な権益と世界の自由貿易秩序を守るため、同時に対抗措置をとらざるをえない」と表明した。

 経済力で世界1位の米国と2位の中国の不毛な消耗戦は、両国だけでなく世界経済を疲弊させかねない。まずは検討していた閣僚級の協議を開き、打開策の糸口を探るべきだ。

 米国の制裁の対象は2千億ドル(約22兆円)分。発動済みの2回分と合わせると制裁規模は2500億ドルで、中国からの年間輸入のほぼ半分にあたる。これまではハイテク部品などが中心だったが、服飾品や家電、雑貨も含まれる。

 米国の消費者にも値上げなどの影響が及ぶと予想されるが、トランプ大統領は声明で「もう一度、中国の指導者たちに、不公正な貿易慣行を終えるための速やかな行動を求める」と、強気の姿勢を崩さなかった。規模を広げれば、輸入額が少なく対抗策に限りがある中国を追い込める、と考えているのだろう。

 中国は報復として、600億ドル分の米国製品に高関税を課す方針だ。関税以外では、中国で活動する米企業への許認可を遅らせるといった手段なども可能性として挙がる。

 米国は中国に対し、貿易問題に関する閣僚級の協議再開を打診した矢先に、追加の制裁発動を表明した。中国が不信感を示すのも理解できる。中国が報復するのであれば、残りのすべての輸入品に追加関税をかける構えも見せている。こうした行動を続ける限り、米国が他国の「不公正な貿易慣行」を批判しても、説得力はない。

 状況を打開するには、中国政府も自らの経済政策をどう変えるのか、示す必要がある。知的財産を侵害して外国企業に技術移転を強要し、補助金で自国のハイテク産業を保護しているという問題点は、米国だけでなく日欧も指摘している。「世界の自由貿易秩序を守る」というのなら、現実的な対応策を打ち出すべきだ。

 日本企業も、中国に置いていた生産拠点を中国外に移すなど影響を受けている。日米は近く、閣僚による貿易協議と首脳会談を開く予定だ。米国の保護主義政策が、いかに世界経済に悪影響を及ぼしているのか。日本はトランプ政権に対し、自制と政策の見直しを迫らなければならない。

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