[PR]

 文部科学省の戸谷(とだに)一夫事務次官が、業者から不適切な接待を受けていたとして減給処分となり、きのう辞職した。

 前任の前川喜平氏も天下りあっせん問題で辞職している。事務方トップが不祥事で続けて役所を去る。異常な事態だ。

 次官だけではない。小中高や大学の教育をつかさどる局長2人と、官房の総務課長も同じ業者から接待を受けていた。省庁や政界にパイプを築き、情報がほしい大学や企業と行政をつないで利益を得る、ブローカーのような存在とみられている。

 この業者との関係をめぐっては、別の幹部2人がすでに収賄の罪で起訴されている。

 典型的な癒着の構造に驚く。旧大蔵省の接待汚職などを受けて国家公務員倫理規程が作られたが、いつしか緊張感が薄れ、この醜態を招いたのか。

 4人は、政治家も同席すると聞いて、飲食の場に加わったなどと説明しているようだが、教育を担い、子どもたちに道徳を学ぶように指導する文科省である。その役所の幹部が軒並み「倫理」を問われる。恥ずべき話と言うほかない。

 利害関係者との接触に関するルールを徹底するとともに、行政の公正公平を傷つける問題が潜んでいないか、各部局の業務を再点検する必要がある。

 文科省もまた、安倍1強政権下で官邸や政治の動きに振りまわされ、揺れ続けてきた。

 加計学園の問題では、「総理のご意向」などと記した内部文書が省内に残っていたことで、政権から逆に攻撃を受けた。

 この問題で政権を批判した前川氏がことし2月、名古屋市の中学で講演した際には、自民党議員の「問い合わせ」に文科省側が過剰に反応。地元市教委に講演内容をしつこく問いただすなど、異様な振る舞いに走って厳しい批判を浴びた。

 こうした事実が積み重なり、さらに今回のようなスキャンダルによって国民の信頼を失えば、発言力は弱まり、省内の士気が低下し、政策の推進力も鈍っていく。

 憲法が定める「教育を受ける権利」や「思想・学問の自由」と密接な関係をもつ役所が、そんなありさまでは、この国の将来が思いやられる。

 目の前の課題だけでも、少子化・グローバル化を見すえた授業方法や大学入試のあり方の検討、貧しい家庭への学習支援などが山積している。

 規律と信頼の回復に全力を尽くす。それができなければ、被害を受けるのは、現在の、そして未来の子どもたちである。

こんなニュースも