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 新技術に多少の失敗は付きものだ。だが、大金をやすやすと闇に流すような失態が続くのであれば、看過できない。

 仮想通貨交換業者のテックビューロは、運営するサイトが不正アクセスを受け、ビットコインなど70億円相当が外部に流出したと発表した。45億円分は顧客の資産だったという。

 テックビューロは今年3月、金融庁から「システム障害や不正出金、不正取引が多発している」と指摘され、業務改善命令を受けた。6月にも、経営管理や法令順守、マネーロンダリング対策や顧客資産の分別管理などの態勢に問題があるとして、業務改善を命じられた。

 揚げ句に今回の流出である。不正アクセスを受けた被害者の面はあるが、登録事業者としての資格を疑わざるをえない。

 流出した顧客資産は他社からの支援で補償し、経営陣は退くという。必要な措置だが、そもそもの説明責任が果たされていない。会見さえ開かず、流出の経緯や管理態勢の説明が不十分だ。財務状況など経営情報の開示も欠けている。

 金融庁も改善命令を出しながら、流出を防げなかったことを厳しく受け止める必要がある。

 仮想通貨をめぐっては1月にも、コインチェック社で580億円相当が流出した。以後、金融庁は検査・監督の強化と同時に、有識者による研究会で制度面の議論を進めてきた。

 仮想通貨は資金決済法で規制されている。物やサービスの対価として支払われる「おカネ」の一種との見方が基本だ。

 確かに当初は決済手段としての役割が想定されていた。だが、昨年ごろから急速に資金が流入。業者も広告宣伝を強め、値上がりを期待した投機の対象になる「資産」として、もてはやされるようになった。

 今春のG20の議論では、仮想通貨の呼び方が「暗号資産」に変わり、金融庁も最近の文書では、こちらを主に使っている。

 業者も、証券取引所のように市場の提供だけをしているわけではない。暗号資産を自ら売買したり、顧客の資産を管理したりしている。しかも扱う資産の規模は1~2年で急膨張した。

 金融庁の研究会では、現状に照らせば今の制度は不十分との見方が多い。投資家保護の視点を含めた見直しや、金融商品販売法の適用を望む声もある。詰めの議論を急ぎ、実効的な規制を早急に実現してほしい。

 仮想通貨に使われる技術自体は、様々な応用が期待される。その芽を摘まぬためにも、適切な手を打つべき局面だ。

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