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 国会とは何でしょう? 選挙で選ばれた国民の代表が議論して法律を作り、行政に不正がないか監視する役割があります。しかし、先の通常国会では重要な法案の採決が強行され、森友・加計(かけ)学園問題も十分に解明されたとは言えません。なぜそうなるのか。議員による国会改革案で十分なのか。みなさんからの声を紹介しつつ、ともに考えます。

 ■失言・失態の追及ばかり

 中学3年の私は、学校でも塾でも「国会は唯一の立法機関だ」と教わった。ところが現実の国会はその役割を果たしているとは思えない。特に、大臣らの失言や失態の追及に終始している点が疑問だ。同じような質問や答弁、時には小学生のような言い争いも。そして私は今国会でどんな法律が作られたのか知らない。

 (愛知県 兼岩優太 15)

 ■「強行採決」は変だ

 「強行採決」は変だと思います。野党が反発してもみくちゃになっているニュースを見ると、いろいろな意見があるのに無理やり採決するのは、国民の意見を尊重していないのではと考えてしまいます。

 (愛知県 尾島彩祐香 15)

 ■答弁は質問時間外に

 「総理、総理、もう結構です」。予算委員会のテレビ中継で目にする光景だ。野党の質問者の問いに、直接関係の無いことを長々と答弁している首相。質問時間がどんどん減っていくことにイラだっての発言だ。

 国会の質問時間は、衆院の委員会だと大臣の答弁時間も含まれる。これでは質問をはぐらかすことも可能だ。参院のように答弁は含まない方式に改めてはどうか。

 (神奈川県 五月女哲夫 71)

 ■「ねじれ国会」の方が…

 丁寧に議論せず数の力で押し通すやり方が繰り返されると、「ねじれ国会」の方がバランスが取れていた気がしてくる。バランスの一つとして、5月に成立した「候補者男女均等法」に期待したい。次は「老若均等」。選挙権年齢が18歳になったのだから被選挙権年齢も引き下げる。極論を言えば二院を「熟練者議院」と「若者議院」にしてはどうか。

 (茨城県 小松惠一 66)

 ■召集に応じない責任は

 昨年6月に野党が国会召集を求めた際に安倍内閣はすぐ応じず、3カ月後に召集したものの冒頭解散した。憲法には「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」とある。素人の私にも分かる明快な条文を事実上無視した責任は、うやむやにはできない。

 (宮城県 猪股輝男 85)

 ■小選挙区制に疑問

 昨年の衆院選。選挙区での自民党の得票率は48%なのに議席は75%を獲得した。小選挙区制の結果だ。国会の体たらくを見るにつけ、制度導入時に理想とされた二大政党制は、多様性を重視し少数意見を尊重する民主主義の理念にそぐわないと思う。

 (大阪府 門田淳 81)

 ■「党議拘束」に違和感

 国会の議決の際の「党議拘束」に強い違和感を覚える。同じ党派に属していても人さまざま、思想信条にはかなり幅があるはずだ。国民の信任を受けた国会議員が、党の言う通りに行動を縛られるのは、「思想及び良心の自由」「個人の尊重」を定めた憲法の精神に反すると思うが、どうか。納得いく説明がほしい。

 (神奈川県 中村和雄 76)

 ■修正されぬ法案・はぐらかし…議論なき現状

 憲法は国会を「唯一の立法機関」と定めています。法案は国会で審議され、賛否が分かれた場合は多数決になります。採決に踏み切るまでに議論を尽くさなければなりません。

 実際はどうでしょうか。

 まず、政府が提出する法案が議論の結果、修正されることはほとんどありません。与党は法案を事前に審査し、与党の考えに沿って必要な修正をさせているためです。

 また、与党は一定の審議時間を経たことなどを理由に、採決を強行することがあります。先の通常国会でも働き方改革法やカジノ実施法について、与党は衆院の委員会採決を強行しました。背景には国会法に定められた「会期不継続の原則」があります。会期中に成立しなかった法案は原則、次の会期には引き継がず、廃案にするというものです。

 こんな現状に、立憲民主党の枝野幸男代表は7月20日の衆院本会議で「民主主義とは単純な多数決とイコールではありません」と訴えました。「多数の言っていることが正しいからではありません。熟議を繰り返した結果として、多数の意見であるならば、少数の意見の人たちも納得するからです」「少数意見を納得させようという意思もない多数決は、多数決の乱用です」と批判しました。

 国会のもう一つの役割が行政監視です。国会には、証人の出頭や記録の提出を要求できる「国政調査権」が憲法で定められています。

 先の国会では、森友・加計問題や、財務省による公文書の改ざん、自衛隊の日報の隠蔽(いんぺい)などが問題になりました。野党は予算委員会などで安倍晋三首相らを追及しましたが、質問に正面から答えない場面が目立ちました。疑惑への関わりが取りざたされた首相の妻や友人らを国会に呼ぶよう野党が求めましたが、与党は拒否しました。

 こうした中、大島理森衆院議長は7月31日、通常国会を振り返る談話を発表。公文書改ざんや日報の隠蔽などを批判し、「国民の負託に十分に応える立法・行政監視活動を行ってきたか、については、検証の余地があるのではないでしょうか」と、国会改革の議論を求めました。

 ■古くから議論、与野党が提言

 国会はどうあるべきか。議論は古くからあります。1999年に成立した国会審議活性化法では、官僚任せではなく、政治家自身が答弁するように2001年から副大臣・政務官制度が導入されました。二大政党制を念頭に、与野党の「党首討論」も制度化されました。

 「安倍1強」による弊害が指摘される中、再び国会改革が焦点になっています。自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長ら同党の若手議員でつくる会議が6月に、立憲民主党も7月にそれぞれ提言をまとめました。

 法案審議はどう改革するのでしょうか。自民案は計画的に論議を進めるため、2週間先まで審議日程を定めることを提案。与野党が日程で合意しない場合、「議長・委員長が職権で決定する」と明記しています。審議を効率化させるのが狙いです。

 これに対し、立憲の山内康一・国会対策委員長代理は「審議の中で法案の問題点は出てくる。審議は短いほど良いという認識自体が間違い」と批判しています。

 一方、立憲案が重視するのは「議員提出法案」の審議です。先の国会で立憲は「原発ゼロ基本法案」など約30本を他の野党と共に提出したものの、多くは審議されませんでした。政府提出の法案が優先して審議される傾向があるためです。そこで立憲は、議員提出の法案も週1回は委員会で議論すべきだと訴えます。

 行政監視はどうでしょうか。

 自民案では行政の公正性に疑義が生じた場合、国会に「特別調査会」を設置。関係者の招致や資料提出を通じ、調査報告書をまとめて公表する仕組みを提案しています。

 ただ、どういうケースに特別調査会を設けるかは明確ではありません。立憲の長妻昭政調会長は「何がスキャンダルかを多数決で決めることになれば、国会の機能は著しく弱まる」と指摘しています。

 これに対し、立憲案では国会に招致する政府参考人の範囲を広げるよう求めています。森友・加計問題をめぐって、野党は財務省の元理財局長や元首相秘書官らの国会招致を求めましたが、与党が難色を示し実現に時間がかかったためです。

 ■不要論恐れる参院、改革リードを 清野正哉・会津大学上級准教授

 元参院事務局員で、「国会とは何か」などの著書がある清野正哉・会津大上級准教授に、国会改革のポイントについて聞きました。

     ◇

 国会改革には与野党の譲り合いが必要です。野党が求める議員立法の審議充実を与党に受け入れさせるには、例えば政府案の答弁者を大臣に限らず副大臣らを柔軟に受け入れる姿勢が求められます。自民が提唱する特別調査会には、外部の有識者をメンバーに入れなければ理解は得られないでしょう。改革は衆院と参院で競い合えばいい。参院は「参院不要論」を恐れ、独自性を出そうと採決の「押しボタン式」を導入しました。改革をリードできるでしょう。改革の過程をインターネットなどで随時公開することも欠かせません。

 ◆斉藤太郎、笹川翔平、吉田晋が担当しました。

 ◇来週10月1日は「父親の心得」を掲載します。

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