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 台風21号による浸水被害で機能停止に追い込まれた関西空港は、旅客ターミナルビルが全面的に復旧し、貨物関連を除くとほぼ通常の運航に戻った。

 今回の被災は、海上空港の弱点に加え、施設の所有と運営を分ける方式に伴う課題も浮き彫りにした。徹底的に検証し、関空が防災対策を見直すのはもちろん、海上にある中部、北九州をはじめ他の空港にも通じる教訓を導かねばならない。

 問われるのは、海を埋め立てた空港島と対岸を結ぶ連絡橋が損傷し、通行できなくなる事態をどこまで想定していたかだ。

 関空が孤島と化したのは、付近に停泊していたタンカーが強風で流され、橋にぶつかったからだ。国の運輸安全委員会が衝突の原因を調べているが、連絡橋は鉄道と高速道路が通る関空の命綱だけに、最悪の事態に備えておくべきだろう。

 空港島では約8千人が一夜を過ごすことになったが、空港の運営会社は当初、人数の把握にも手間取った。高速船のほか、通行可能と確認できた高速道路の車線を使ってバスで運んだものの、時間を要した。

 混乱に拍車をかけたのは、ターミナルビルなどの広範な停電だ。照明や空調が止まり、館内放送による情報提供も滞って、海外からの観光客を含む多くの人が不安を募らせた。

 関空の電気設備はビルの地下にあり、高潮で空港島に流れ込んだ海水に直撃された。心臓部と言える設備の配置に、そもそも甘さがあったのではないか。

 国は、国際空港の施設を含む重要インフラの緊急点検にのり出す。関空の高潮対策についても、有識者による会合で検証する方針だ。施設や設備面にとどまらず、利用客への情報伝達と誘導のあり方、緊急時の備蓄や救出方法についても点検する必要がある。

 関空は1994年の開港後、地盤沈下や浸水被害を受けて護岸のかさ上げ工事を重ね、「50年に1度の高波も抑えられる」としてきた。災害の想定と対策の練り直しが避けられない。

 関空の体制は複雑だ。施設や滑走路は国が100%出資する新関西国際空港会社が所有しつつ、運営は2年前から民間の関西エアポートが担う。計画にない対策を迫られた時、責任や経費をどう分担するのかが明確でないようだ。

 空港の運営を切り離して民間事業者に委ねる方式は、関空以外にも広がりつつある。利益を優先し防災対策がおろそかになることは許されない。関空の対応が試金石になる。

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