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 (21面から続く)

 ■「女性が拓(ひら)く未来イノベーション ~いま必要なリーダーシップとは?」 キャシー・松井さん、岩村水樹さん、吉田晴乃さん

 グローバル化と人口減少が同時に進む日本は、今後どのように新たな価値を生み出していけばよいのか。性別や国籍を超えた多様な人材を生かすための方策について、女性のビジネスリーダーが討論した。

 「男女平等ランキング」が144カ国の中で114位、女性管理職の比率が13・2%――。朝日新聞の大西弘美執行役員は冒頭、日本社会の現状を示す「ジェンダー・ギャップ指数」(2017年版)などのデータを紹介した。

 ゴールドマン・サックス証券副会長のキャシー・松井さんは、15~64歳の女性のうち家の外で働く人の割合が70%に達し、米国の水準を上回った状況に言及。ウーマン(女性)とエコノミクス(経済)を合わせた概念「ウーマノミクス」を打ち出し、リポートにした約20年前から10%以上増えたと指摘した。「ここ数年、ダイバーシティー(多様性)というコンセプトが、経済成長に不可欠だと考えられるようになった」と分析した。

 グーグル日本法人CMOの岩村水樹さんは、「期待されている」と感じる女性の割合が20%台にとどまったとする意識調査があるとして、潜在的な意識を課題に挙げた。「人は期待されて初めて育つ。数字を達成するだけではだめで、カルチャーを変えないといけない」と提言した。

 女性の活躍と経済効果との関係も話題にのぼった。

 BTジャパン前会長の吉田晴乃さんは、「格差を埋める活動は、経済成長に結びつかなければ、単なる慈善事業になってしまう」と強調。家の外で働く女性向け商品の売れ行きが伸びていることや、女性社員がデザインした自動車が高い売り上げ台数を記録した事例を紹介し、「各マーケットの成長に間違いなくつながっている」と述べた。

 多様な人材を生かすためには、従来の硬直的な働き方を変えることがカギになる。パネリストからは、ITなどの技術革新で、柔軟な働き方が広がることへの期待も相次いだ。

 岩村さんは、自宅からビデオ会議に参加するようになったり、クラウド上で文書を共有するようになったりしたことで、柔軟な働き方ができるようになったと強調。社内では、出産を経て復帰する女性の割合が100%になったという。

 吉田さんは「ご飯を炊くのも(スイッチを)ポンとやればできる」と、技術革新で女性が家事から解放されてきた歴史に言及。「便利なものを駆使して時間を欲張りに使えるようになった」と変化を口にした。

 長く続いてきた男性中心の社会を変え、多様な働き手の活躍を促すために何が必要なのか。

 岩村さんは、「心理的安全性」という概念をキーワードに挙げた。仕事相手の企業の会議で、発言する女性がいなかったことを例に、「発言しなければ多様性や技術革新につながらない」と指摘。安心してわからないことを聞いたり、発言したりできる環境づくりが不可欠だと訴えた。

 松井さんは勤務先企業で、「多様性」をテーマにした訓練を強制的に導入し、人事評価にも多様性の観点を採り入れていると説明。「時間はかかるが、女性のみならずLGBTの人たちへの意識も変わっていくと思う」と話した。

 松井さんは討論を総括するひとことを問われ、フリップカードに「女性リーダー」と書いたうえで、「女性」の部分に×印をつけた。「女性リーダー」が特別視されない社会への期待を込めたものだ。「女性の特性は弱点ではなく、強みになる時代が来る」と締めくくった。

 フリップカードとともに、ファッションブランド創始者ココ・シャネルの「ヒールと頭と価値基準は、いつも高く保ちなさい」という言葉を紹介した吉田さんは、「新しい生き方を果敢に求めていけば良い」と語った。

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 <キャシー・松井さん> ゴールドマン・サックス証券副会長 1965年、米国生まれ。94年、ゴールドマン・サックス証券に入社。99年に「ウーマノミクス」を提唱した。途上国などの女性への高等教育支援活動も。

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 <岩村水樹さん> グーグル日本法人CMO アジア太平洋地域マネージングディレクター 電通などを経て、2007年グーグル入社。アジア太平洋地域で、テクノロジーにより女性を支援する取り組み「Women Will」を手がける。

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 <吉田晴乃さん> BTジャパン前会長 1964年生まれ。2015年に女性初の経団連役員に就任した。来年のG20にあわせて開かれる女性諮問会議W20の共同議長を務める。

 ■多様な働き方、早く実現を 来賓あいさつ 野田聖子・総務相

 少子化と人口減少は日本にとって静かなる有事です。女性の活躍をはじめとした多様性こそが、日本を救うと考えています。

 日本はかつて専業主婦に支えられた男性が中心となり、長時間労働や転勤などにも耐えながら、規格大量生産を行うモデルで成功してきました。しかしそのモデルで利益を生み続けることは難しくなり、個性や独自性が求められている。今や多様な個性の源泉というべき女性、高齢者、障害者が貴重な戦力、人材として価値を生み出す時代です。

 長時間労働をなくす。テレワークによる在宅勤務など多様な働き方を可能にする。女性、高齢者、障害者たちが活躍できるフェアな仕組みを早急に実現すべきです。そうすることで男性もこれまで抑えられてきた個性を発揮することができるようになる。夫婦同姓や専業主婦を前提にした税制、社会保障制度もできるだけ早く変えるべきです。

 改革が後手に回ってきた背景には、政策決定の場に女性が少なすぎることがあります。今年5月に選挙で男女の候補者をできる限り均等にするよう政党に求める法律が成立しました。日本の政治を変える一歩になると確信しています。

 ■ゾウもトラも、目の前に 展示ブース「VRどうぶつえん・すいぞくかん」

 朝日地球会議の会場では、バーチャルリアリティー(VR、仮想現実)を体験できるコーナーが設けられた。参加者らはVRゴーグルをかぶり、朝日新聞社が制作した360度動画「VRどうぶつえん・すいぞくかん」を楽しんだ。

 このコンテンツは、よこはま動物園ズーラシアや横浜・八景島シーパラダイスの協力で作られた。自分の顔のすぐ横にあるリンゴにゾウが鼻を伸ばしてきたり、トラに顔をべろりとなめられたりと、臨場感あふれる映像が見られる。特別支援学校での出張授業で、動物園に行きたくても行けない子どもたちに、VR動画を体験してもらう試みを続けている。

 また、地球会議の会場では、世界中の社会課題を国連の「持続可能な開発目標(SDGs〈エスディージーズ〉)」の17のゴールに合わせて分類し、個人や職場、学校、日本、世界など規模ごとに同心円状に配置した「SDGsヒントマップ」も展示された。身の回りから世界まである社会課題に気づき、行動につなげてもらうツールだ。

 <主催> 朝日新聞社

 <共催> テレビ朝日

 <特別協賛> 旭硝子財団、アデランス イオン環境財団、NTN、NTTグループ、サントリーホールディングス、凸版印刷、トヨタ自動車、パナソニック、モニターデロイト

 <協賛> エプソン販売、住友林業

 <協力> グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン、CNET Japan、日本マーケティング協会、ハフポスト日本版

 <特別共催> 国立科学博物館

 <後援> 外務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省

 ◇最終日の26日は、帝国ホテル東京で、人工知能(AI)や、環境、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)についてのパネル討論などがあります。10月中旬の朝刊に、詳報を掲載予定です。

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