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 沖縄県知事選は30日、投開票される。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設の是非が最大の争点で、無所属新顔4氏が17日間の論戦を繰り広げた。最終日の29日は沖縄に接近した台風24号の影響で、選挙運動がほぼ中止され、各地の期日前投票所は閉鎖された。

 立候補したのは前宜野湾市長の佐喜真淳(あつし)氏(54)=自民、公明、維新、希望推薦=、前衆院議員の玉城デニー氏(58)、琉球料理研究家の渡口初美氏(83)、元IT会社員の兼島俊氏(40)。佐喜真氏と玉城氏の事実上の一騎打ちが展開されてきた。

 佐喜真氏は「普天間飛行場の返還実現が最重要」などと語る一方、辺野古移設の賛否は明らかにせず、安倍政権と協調しての経済振興などを訴えた。

 玉城氏は「翁長雄志(たけし)知事の遺志を継ぐ」と、辺野古移設を認めない姿勢を鮮明にして選挙戦を展開。教育支援や福祉の充実、文化振興なども訴えた。

 ■「納得できる答え」願い共通

 沖縄県知事選で、10代、20代の若い世代が次々と初めての選挙運動にかかわり、存在感を見せている。

 中城(なかぐすく)村の琉球大4年、東郷健太郎さん(21)は佐喜真淳氏(54)の選対青年部のメンバー。台風が直撃する直前まで、街頭やSNSで支援を呼びかけてきた。

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 <格差に衝撃>

 政治への関心が高まったきっかけの一つは、大学生になって「無料塾」でボランティア講師を務めた経験だ。九九や割り算がおぼつかない中学生や、家庭の事情で進学塾に通えない子に出会った。経済格差が、学力や学ぶ機会の差を生むことに衝撃を受けた。

 普天間飛行場(宜野湾市)の返還で日米が合意した1996年の翌年に生まれ、気づけば選挙の争点は「動かない基地問題ばかり」。全国最低の県民所得など、「目の前の暮らし」がおろそかにされていると違和感を覚えてきた。

 急逝した翁長雄志知事が「辺野古ノー」を訴えたのは共感できる。2年前には同世代の女性が米軍属の男に殺害された。

 ただ、「反対や被害を叫ぶだけでは対立ばかりで前に進めない」。だから、「対立から対話へ」と訴える佐喜真氏に期待する。

 副代表を務める学生団体では、新知事への政策提言を作成中だ。別の候補を支持する仲間もいる。「敵か味方か、ではない。対立している人たちも一緒になって解を見いだせるような沖縄にしたい」

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 <歴史を学び>

 那覇市の普久原朝日さん(24)は小学生の時に両親が離婚し、母親に育てられた。同じ母子家庭で「だれ一人取り残さない」という玉城デニー氏(58)の主張に共鳴し、選挙を手伝う。

 静岡での大学時代、沖縄の歴史や文化に関する本を読みあさった。反基地運動の広がりなどで本土では基地が大幅に減らされ、沖縄に集中した歴史があることを知った。

 普段目にする沖縄の情報は辺野古での抗議行動と、それに向けた中傷。自分の目で確かめたいと、カメラを手に足を運んだ。警察官に強制的に排除されていくオジイや、オバア。警察官にも、沖縄の人。目の当たりにしたのは「分断されたウチナーンチュ(沖縄の人)の姿」だった。

 時々顔を合わせる父(79)は沖縄戦で両親を失い、腕には今も爆弾の破片が刺さった傷痕が残る。基地の始まりは沖縄戦にあり、「いまも基地を押しつけられている。沖縄の分断を深めているのは、日本政府」。

 辺野古の賛否を問う県民投票を目指す運動にも関わってきた。「僕は『辺野古ノー』だけど、賛成でも、反対でも、意見を出し合って、多くの県民が納得できる答えに近づきたい」。ウチナーンチュ同士の対立が終わることを願う。

 (角詠之)

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