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 地域金融の優等生の実績は、不正にまみれた砂上の楼閣だった。監督官庁の責任が問われると同時に、業界の将来について改めて考える必要がある。

 金融庁は、スルガ銀行に対し6カ月間の一部業務停止命令を出した。主力分野の投資用不動産融資を対象としており、相応に厳しい処分といえる。シェアハウス関連融資での書類改ざんなどの不正に加え、ファミリー企業や創業家への不透明な貸し出しや、暴力団関係者との取引があったことも指摘した。

 スルガ銀は、全容を解明して速やかに公表し、根底から経営を立て直さねばならない。創業家と決別し、法令順守と顧客保護を徹底することが、銀行業を続けるうえでの最低条件だ。

 ようやく処分を下したとはいえ、不正の蔓延(まんえん)を見抜けなかった金融庁の責任も重い。森信親・前長官は昨春、スルガ銀の高収益を肯定的に紹介していた。金融庁幹部は「結果として当該の問題を事前に察知できなかったことは否めない」「反省すべきは反省し、必要な見直しを進める」と釈明しているが、厳しい自己検証が求められる。

 金融庁は近年、「処分から育成へ」を掲げ、行政を転換していた。地方経済の縮小や低金利の長期化の中で、地域金融機関の経営環境が厳しくなっていることが念頭にあった。

 現実を直視した経営改革を促すことは、長期的な金融システムの安定にもつながり、金融庁の問題意識は理解できる。問われるのは、行政能力を過信していなかったか、という点だ。

 2年前の金融行政方針には、「優良な取り組み」をしている金融機関を金融庁が公表・表彰するとの内容を盛り込んだ。最近は「経済成長への貢献」との視点も強調している。だが、何が優良なビジネスであり、経済成長に資するかは、行政が簡単に見いだせるものではない。金融庁の役割は「金融の安定と利用者の保護、金融の円滑化」であることを再確認すべきだ。

 低金利が長引くなかでは、成功の見込みの低い事業にカネが流れ込みがちだ。スルガ銀の融資や仮想通貨投機はその具体例ともいえる。過熱して不正を生む事例が他にもないか、監視を強めなければならない。

 今回の事態は、地域金融機関の経営改善に簡単な解がないことも浮き彫りにした。各機関は顧客保護を徹底しつつ、新たなビジネスモデルの模索を続ける必要がある。同時に、再編・統合などを通じて、実質的な市場からの退出を円滑に進めることも課題になるだろう。

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