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 経団連が、新卒学生の就職活動の日程を申し合わせたルールの撤廃を決めた。

 企業の6割超が面接解禁日を守っておらず、形骸化が進んでいた。強制力がないとはいえ、自分たちで決めたことも守れないのは情けないし、撤廃決定に至る議論がどこまで尽くされたのか、疑問も残る。

 だが、外資系などの経団連に加盟していない企業の採用活動が早まっている現実がある。今後さらに海外との人材交流が進むといった社会の変化を考えれば、従来の形のルールの維持は難しいと判断したのだろう。

 しかし一気に自由化すれば、学生にも企業側にも混乱が起きるのは必至だ。とりわけ心配なのは、就活が今以上に長期化し、学業に深刻な影響が出ることだ。当面は一定の目安を設ける必要がある。

 今後、政府が主導して新たなルールを決めるという。大学・学生、労働側や中小企業など多様な立場の声を聞くのはもちろん、その意見をきちんと反映させなければならない。そうでないと新たな枠組みも絵に描いた餅に終わる。

 ルール見直しにあたって大切にしてほしいのは、交渉力の弱い学生や中小企業が不利にならないようにすることだ。

 最近でこそ就職環境が好転しているが、個々の採用においては企業側が学生より優位に立ちがちだ。内定取り消しや内定者拘束の横行があってはならない。採用活動の情報の透明性を高める必要もある。大企業の動向に左右され、採用にかけられる人手が少ない中小企業への配慮も欠かせない。

 新卒一括採用は、新卒時を逃すと就職しにくくなる弊害もあるが、終身雇用や定年制ともあいまって、結果的に若年失業率を抑えてきた面がある。今後、企業が通年採用や中途採用を増やしていくとすれば、若者の就業率に悪影響がでないか、注視すべきだろう。

 この機会に検討してほしいのは、学業を重視した採用のあり方だ。なし崩しに自由化が進んで「勉学より就活」の傾向が強まれば、大学は空洞化し、教育機能は弱まる。それは学生だけでなく社会の損失でもある。

 多様な人材が必要な時代に、大学の名前で決めるような採用活動は改めなければという認識は、企業の側にもある。勉学の努力が就活時にも評価されるようになれば、学生の学ぶ意欲は高まる。

 大学の側も、単位や卒業の要件を厳しくするなど、教育の質を高める努力が求められる。

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