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 就任直後の新知事と対話の機会を設けはした。しかし、米軍普天間飛行場の辺野古移設を進める従来の立場を変えないのでは、知事選で示された明確な民意に向き合うつもりはないと見るしかない。

 安倍首相がきのう、首相官邸を訪れた沖縄県の玉城デニー知事と会談した。4年前に翁長雄志(おながたけし)知事が就任した時は4カ月も面会の要請に応じず、県との対立が深刻化した。

 今回の対応は、知事選で連続して「辺野古ノー」の民意が鮮明になったことを、政権としてそれなりに重く受け止めてのことだろう。

 知事選では、玉城氏が過去最多の39万6632票を獲得し、自民、公明両党が全面支援した候補に8万票の大差をつけた。辺野古埋め立てに向けた工事に着手した後も、県民の多くがあきらめることなく、ノーの意思表示をした。

 きのうの会談で玉城氏は辺野古移設に反対の立場を伝えた。これに対し、首相は「政府の立場は変わらない」と応じたという。これでは、県との深い溝を埋めることはできない。

 政府がやるべきことは、県が8月末に埋め立て承認を撤回したため、現在は止まっている辺野古の工事を、これ以上強行しないと約束することだ。政府は裁判に持ち込んで工事を再開させる構えをみせているが、そんなことをすれば、県との対話の土台は崩れてしまう。

 埋め立て予定地で見つかった軟弱地盤の問題も大きい。今後、設計や工法の変更が必要になっても、県の協力を得られる見通しはない。工事は長期化する可能性が高く、強硬姿勢のままで展望は開けない。

 政府は今度こそ「辺野古が唯一の解決策」という硬直した方針を改めねばならない。日米合意を見直すのは簡単ではないだろうが、地域住民のこれだけ明確な意思に反して基地を押しつけることは、民主主義の観点からも許されない。

 米政府に協議を呼びかけ、辺野古案を白紙にして、代替策を探る必要がある。沖縄の海兵隊はアジア太平洋地域を巡回しており、拠点を海外に移したり、県外・国外に機能を分散させたりすることは可能なはずだ。

 その際、在日米軍にさまざまな特権を認めている日米地位協定の改定も提起すべきだ。知事選では、玉城氏のみならず、政権が推した候補も公約の柱に据えた。与党公明党は具体的な見直し案をまとめ、政府に申し入れている。これ以上、放置してはならない。

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