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 障害や病気のある子を親が長年、自宅で監禁する。そんな事件が相次いで発覚した。

 子の人権を踏みにじる行為であり、親が刑事責任を問われるのは当然だ。ただ、親は周囲の目や声を気にして子の監禁に走った面もある。自治体などの対応は鈍く、異変に気づく機会がありながら見過ごしていた。

 困難を抱える家族を孤立させず、不安や悩みを相談できる態勢を整える。地域の関係機関が情報を共有し、連携して対処する。そのことを肝に銘じたい。

 兵庫県三田市で、重度の知的障害の男性(42)が自宅に建てられたプレハブ小屋の中の檻(おり)に閉じ込められていた。男性は今年初めに保護され、父親が監禁罪で懲役1年6カ月執行猶予3年の有罪判決を受けた。

 市の第三者委員会が先月まとめた検証報告書によると、監禁は二十数年に及んだ。末期がんの母親を担当した介護関係者が父親から「長男を座敷牢に入れている」と聞いたことが端緒となり、市の障害福祉課職員らが家庭を訪問。檻の中にいる長男を確認したが、外傷がないなど他の虐待の例と異なり、状態が急変する可能性は高くないと判断。警察にも通報しなかった。

 一家は長男が15歳だった1991年に三田市に転入。市は相談に応じていたが、長男が18歳の時、別の担当に移され、その後は放置された。医者も、長男を一度も対面で診療せず向精神薬を20年以上処方し続けた。

 すぐに保護しなかった市職員の人権意識の乏しさと行政の縦割り。無責任な医師の対応。報告書から浮かび上がるのは、基本を欠いた関係者の姿勢だ。

 大阪府寝屋川市でも昨年末、統合失調症の女性(33)が自宅のプレハブ部屋に閉じ込められ、カメラで監視されていたことがわかった。食事を十分に与えられなかった女性は遺体で発見され、両親が監禁と保護責任者遺棄致死罪で起訴された。

 小6から休みがちだった女性は中学校には1日も登校しておらず、同級生は担任に「異変」を訴えた。17歳になった01年に統合失調症と診断され、その後、監禁が始まったという。

 市教委はどう対応したのか。市は当時の担任らに聞き取りをしたが、三田市のような本格検証は見送った。それで本当に再発を防げるだろうか。

 「外出させてもらえないなど『見えない檻』にいる障害者がいない自治体はない」。三田市の報告書はこう指摘した。人権保護を徹底するためにも、二つの事件から教訓を導き、それを広く生かさねばならない。

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