[PR]

 (21面から続く)

 ■がん患者と装い~アピアランス(外見)ケアの効果とは

 2人に1人が「がん」になる今、「アピアランス(外見)支援」への関心が高まっている。通院しつつ仕事や家事をするケースが多いからだ。国立がん研究センター中央病院にも2013年に、「アピアランス支援センター」ができた。登壇した2人の女性は美容やアパレルの最前線で活躍中に乳がんが発覚し、闘病を機に「装い」の力を再発見、新たなライフワークに情熱を注ぐ。

 美容ジャーナリスト山崎多賀子さん(57)は05年に告知を受けた。抗がん剤の副作用で髪や眉毛、まつげが抜け、顔色もくすんだ。「体調が良くても顔は重病人で、同情や哀れみを誘うと気後れした。化粧やウィッグ、帽子でおしゃれをすると『きれいになった』と言われ、自信がついた。心と外見と社会はつながっていると実感した」

 今は執筆活動に加え、表情豊かで元気に見えるメイクセミナーの講師を務める。「化粧の錯覚効果で男女問わず元気づけて、笑顔を増やせれば」

 ファッション性を重視したケア・介護用品ブランド「KISS MY LIFE」を展開する16年設立の「TOKIMEKU JAPAN」。塩崎良子社長(38)が治療に専念しようと、8年間も経営したアパレル企業を閉じたのは4年前。絶望のどん底にいた時、主治医に「病院で乳がん患者のファッションショーをやるから手伝って」と頼まれた。

 「最初は遠慮がちで自信なさげだった出演者たちがステージ上で輝く姿を見て『私ももう一度起業する!』と奮い立った」

 苦しみや悲しみが渦巻く病院や介護施設に、明るく華やかな服や下着を扱うオアシスのような空間を――。そんな思いで関東を中心に現在8カ所の病院で1坪ほどの販売拠点を展開中。

 「装うとは、自分らしく生きること。その手助けをしたい」

 ■「生き抜くため」ケア充実に期待

 がん患者の外見をケアする目的とは「Beauty(美しさ)ではなくSurvive(生き抜く)」――。国立がん研究センター中央病院の野澤桂子・アピアランス支援センター長の解説に、切実さがにじむ。

 山崎さんは以前、抗がん剤の影響で顔がシミだらけになって「治療をやめる」と言い出した女性に「シミを隠す化粧が学べるサロンがある」と伝えた。この情報を聞いただけで、女性は治療継続を決めたという。

 男性患者に眉を描き足し、目の下のくすみをカバーする機会も増えた。ビジネスシーンでも「見た目」は重視され、社会的な信用を左右する。

 国のがん対策でも盛り込まれた外見ケアのさらなる充実を期待したい。(コーディネーター・高橋美佐子)

 ■琉球の植物、迫る絶滅の危機 講演「琉球の植物多様性」 國府方(こくぶがた)吾郎・国立科学博物館植物研究部多様性解析・保全グループ研究主幹

 琉球列島は、九州と台湾の間に連なる約200の島々からなり、多種多様な植物が見られます。単位面積当たりの種類数でみると、琉球列島は本土と比べて45倍も多い。それは、南北1400キロに広がる琉球列島には、温度や湿度など多様な環境があるからです。さらに、本土や中国、台湾、フィリピンなどの地域から運ばれてきた植物が交ざり合っており、「チャンプルー植物相」と呼びます。遠くは豪州から鳥に運ばれて定着した植物もあります。

 しかし、今、多くの固有の植物が、絶滅の危機にさらされています。琉球列島が生息域の北限や南限になっている植物は、わずかな環境変化が生育に影響します。また、植物の個体数が少ないことに加えて、園芸価値が高いものが違法に採取されることもあります。単位面積当たりの絶滅危惧植物の種類数は、本土の60倍多くあります。

 沖縄本島中部の景勝地「万座毛(まんざもう)」には、白い花を咲かせるイソノギク(キク科)や、オキナワマツバボタン(スベリヒユ科)など絶滅危惧植物が集中しています。他にも黄色の花が特徴で鑑賞価値の高いマツムラソウ(イワタバコ科)や、増水した川で流されないように葉を細く進化させたナガバハグマ(キク科)も絶滅の危機にさらされています。

 一方、琉球列島には貧栄養で酸性の土壌である「荒野林」も広がっています。不毛の地と呼ばれ、土地開発の対象にされやすいですが、実は特殊な環境に耐えられるように進化した植物が生きています。こうした植物は荒野林がなくなると絶滅します。荒野林も大切な環境であると知ってもらいたい。

 すばらしい植物がある琉球列島。旅行で行く方はこうした珍しい植物をご覧になってください。

 ■特別講演 自分らしさ、輝かせる大きな力 箕輪睦夫・アデランス執行役員海外事業本部副本部長グローバルCSR広報室担当

 今年、創立50周年。世界19カ国・地域、64社のグローバル企業です。1754年に近江商人が残した商売哲学「三方良し」を胸に、アピアランスケアに取り組んでいます。己の利益だけでなく、顧客、地域の利益を考えなさいという教えです。

 まず、40年前から、抗がん剤などで髪の毛を失った子どもに、ウィッグをプレゼントしています。02年には、病院内に、バリアフリーのヘアサロンをつくりました。ウィッグでQOL(生活の質)が高まり治療に前向きになります。国内で30店舗、欧州でも8店舗あります。

 円形脱毛症の方を対象に、英国で継続してチャリティーファッションショーを開催しています。自転車競技選手でロンドン五輪金メダリストのジョアンナ・ロウセルさんは、ウィッグをつけてインタビューをした方が、髪の毛より、自分自身に注目してもらえ、より自分らしくいられると喜んでくださっています。自分らしさを輝かせてくれるアピアランスの力の大きさが、よく分かりますね。

 <主催> 朝日新聞社

 <共催> テレビ朝日

 <特別協賛> 旭硝子財団、アデランス、イオン環境財団、NTN、NTTグループ、サントリーホールディングス、凸版印刷、トヨタ自動車、パナソニック、モニターデロイト

 <協賛> エプソン販売、住友林業

 <協力> グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン、CNET Japan、日本マーケティング協会、ハフポスト日本版

 <特別共催> 国立科学博物館

 <後援> 外務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省

 〈+d〉「朝日地球会議2018」の様子は、朝日新聞デジタルの特集ページ(http://t.asahi.com/u5ev別ウインドウで開きます)でもご覧になれます。

こんなニュースも