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 (17面から続く)

 ■AI×IoT時代、「人と人の間」はどう変わる

 人工知能(AI)や、インターネットとモノをつなぐIoTの普及で、人と人との関係や、暮らしはどう変わるのか。企業には何が求められるのか。開発者や研究者が意見を交換した。

 2020年、世界でネットにつながっているモノは500億個になるといわれる。米国の研究では、AI技術が広がると今後10~20年で半分の仕事がなくなる――。討論に先立って、そんなデータが紹介された。

 東北大学大学院教授で、理化学研究所自然言語理解チームリーダーの乾健太郎さんは、AI技術が大量のデータから規則性を学習することでできており、会話の行間を読むことや、データにない「例外」に対応することは難しいと指摘。その上で「過度な期待も過小評価もダメ。何を機械にやらせて、何を人間がやるべきか。丁寧に役割分担する必要がある」と述べた。

 NTTドコモイノベーション統括部で、AIを使った対話サービスの開発に携わる秋永和計(よしかず)さんは「人間のおしゃべりをいろいろなところに適用したい」。自動販売機にしゃべりかけるだけで新幹線チケットが買える。そんな機器をつくりたいと意気込んだ。

 IoTで暮らしを豊かにするには、企業の連携が欠かせないと指摘したのは東京急行電鉄常務の市来利之さんだ。昨年、電力会社や銀行、食品会社などが集まり、実証実験などに取り組む組織も立ち上げた。「IoTはつながるからこそ価値がある」といい、日本企業が陥りやすい「ガラパゴス化」に警鐘を鳴らす。

 世界では、企業がデータの収集を進めている。乾さんは、日本企業の多くがデータを大量に持っていながら、現状ではどんどん捨ててしまっているとし、「まずは、きちんと蓄積することから始める必要がある」と提言した。

 ■活用策や「資産」、目をこらそう

 「AIの民主化」という言葉がある。AI技術がありふれたものになり、モノとつながることによって誰でも使えるようになることだ。問われるのは、どう使いこなすか。解決したい課題や活用方法は様々。その多様性に目をつむり、いっしょくたに脅威論や期待論を唱えても意味が無い。パネリストも一致した点だ。

 AIを鍛えるデータも使い方に応じ多様になる。グーグルなどITの巨人が集めるデータは膨大だが、実は必要な個別データは企業などに「死蔵」されている、と乾教授は指摘する。

 朝日新聞社メディアラボがAIによる自動校正の研究に用いる校閲記者からの指摘文も、短期間で捨てていた。目をこらせば、新たなAI活用のための「資産」と方策が見つかる。民主化時代の効用だと思う。(コーディネーター・堀江隆)

 ■収益性の判断、長期的な視点を 本格化する日本のESG投資とSDGs経営

 環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)を重視する「ESG投資」が日本でも本格的になってきたのは、SDGs(国連持続可能な開発目標)を経営方針に掲げる企業が増え、投資する側とされる側の相互作用が進んでいるからだ。

 CDP事務局ジャパンディレクターで国連責任投資原則(PRI)事務局ジャパンヘッドの森澤充世(みちよ)さんは「PRIに署名した機関は世界で2千を超え、運用資産は70兆ドル以上になった」と述べた。日本でも、機関投資家が、お金を預けている顧客の長期的な利益を最大化するために、ESGを考慮するようになってきているという。

 モニターデロイトジャパンリーダーの藤井剛(たけし)さんは、日本企業のSDGs対応が年間12兆ドルの事業機会や3億8千万人の雇用機会に目が向きがちだとして、「これまでのビジネスでは地球が持たない、持続可能ではないと問いかけられていることを忘れるべきではない」と指摘。社会課題への向き合い方もまだ低い段階にあるものの、「日本企業は、一度意思決定をすると非常に速く動く」と、変化が加速しつつある現状に期待を述べた。

 企業年金連合会運用執行理事の濱口大輔さんは、巨大地震や労働力人口の減少、国債や株式市場の問題など、気候変動に先んじて議論すべき日本固有の課題が数多くあると主張。「『不都合な真実』にも正面から向き合って取り組まないと本当のESGにはならない」と複眼的な視点の重要性を指摘した。

 ESG投資は収益性が低いと指摘されることについて、森澤さんは「海外では長期的には収益が出ているという研究成果や実績がたくさんある」として長期的視点の必要性を訴えた。

 ■国の政策、根本から転換必要

 地球温暖化の影響と見られる猛暑や豪雨による被害が国内外で広がるのに呼応して、ビジネスが大きく変化している。リスクはほかにもあるが、この課題に無縁でいられる者はいない。

 石炭など化石燃料事業からの投資撤退は、1千機関近く、運用資産総額は6.24兆ドル(約700兆円)に上り、4年前の120倍になった。撤退した資金は、自然エネルギーなど新たな投資先に向かう。お金の流れは明らかに変わった。

 日本が遅れた大きな原因は、国の産業政策にある。日本でも生命保険会社やメガバンク、商社に石炭への投融資を見直す動きが出てきた。遅れを取り戻すために次に必要なのは、国がエネルギー政策を根本から転換することだ。(コーディネーター・石井徹)

 ■特別講演 コミュニケーション、ICTで支える 川添雄彦・NTT取締役研究企画部門長

 ICT(情報通信技術)を使って、社会の課題を解決する技術開発に取り組んでいます。

 例えば、コミュニケーション。話した言葉を文字化するスマホなどの「音声認識」の機能がありますが、従来の技術では難しかった方言やなまり、非ネイティブの人の聞き取りが、人工知能(AI)を使って可能になりました。怒りや喜び、悲しみといった感情を聞き取ることもめざしています。

 日本語で話した内容を英語で読みあげるような音声合成の技術では、翻訳後の声はあらかじめ用意された他人の声です。聞き手がより共感しやすいように、話し手と同じ声音で読み上げる合成技術も開発しています。

 バリアフリーの実現にもICTは貢献しています。車いす利用者がスマートフォンに行きたい場所を告げると、階段や段差を避けてルートを案内するアプリを作りました。健康診断の結果をAIが解析し、生活習慣病のリスクを予測することにも取り組んでいます。

 <主催> 朝日新聞社 

 <共催> テレビ朝日

 <特別協賛> 旭硝子財団、アデランス、イオン環境財団、NTN、NTTグループ、サントリーホールディングス、凸版印刷、トヨタ自動車、パナソニック、モニターデロイト

 <協賛> エプソン販売、住友林業

 <協力> グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン、CNET Japan、日本マーケティング協会、ハフポスト日本版

 <特別共催> 国立科学博物館

 <後援> 外務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省

 〈+d〉「朝日地球会議2018」の様子は、朝日新聞デジタルの特集ページ(http://t.asahi.com/u5ev別ウインドウで開きます)でもご覧になれます。

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