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 人工知能(AI)を備え、人間の介在なしに標的を定め、攻撃する。SF映画に出てくるような、そんな兵器が現実に使われる時代が来るかもしれない。議論を急ぎ、開発・配備される前に歯止めをかけるべきだ。

 自律型致死兵器といい、殺人ロボットとも称される。AIを載せた自動運転車に兵器を積んだものや、昆虫のような超小型無人機が構想されている。

 人類の歴史の中で、火薬や核兵器の発明は戦争のあり方を根底から変えた。殺人ロボットはそれと同じような変容をもたらすかもしれない。

 すでに米国は無人機のドローンを米本土から遠隔操縦し、外国の敵を攻撃している。自らは安全な場所に身を置いて一方的に攻撃する行為には、かねて批判がある。ましてロボットがその判断で殺傷するとは、戦争もまた人間の所業であるという枠さえも逸脱する。

 米国、ロシア、イスラエル、韓国などが研究・開発している兵器は、遠からず殺人ロボットの域に達する可能性がある。自軍の兵士を傷つけずにすむことが、推進する側の最大の理由だろう。さらに、機械のほうが判断や動作が人間よりも迅速かつ正確だとして、誤爆や民間人の巻き添えを減らす効果があるという主張も聞かれる。

 しかし、判断を機械に任せることには大きな疑問がある。

 攻撃の成否にかかわらず、責任は人間が取らなければならないが、その覚悟やおそれが薄れはしないか。誤作動や、サイバー攻撃によってその兵器が乗っ取られる心配もある。殺人ロボットがテロリストの手に渡ったら、いったいどうなるか。

 交戦の規則などを定めた戦時国際法は、対等な条件下での敵対行為を前提としている。一方が機械になれば、土台そのものが崩れてしまう。

 こうした兵器の規制を検討する国際会議が昨年からスイス・ジュネーブで開かれ、ことし8月末に3回目の会合があった。全面禁止を主張する国から、ゆるやかな人間の関与で足りるとする国まであって、議論はまだ煮詰まっていない。

 国際社会は、化学兵器や対人地雷などの非人道的な兵器を禁じてきた。殺人ロボットについても同様に対処するべきだ。

 日本は民生用ロボット分野で高い技術を持つ。会議では「完全な自律型致死兵器は開発しない」「冷静でバランスの取れた議論を」と述べたが、腰が引けた感は否めない。ロボットの平和利用を進める立場から、もっと議論を主導してはどうか。

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