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 日本で再生可能エネルギーが主力電源となるためには、太陽光に比べて立ち遅れている風力発電の大幅拡大が必須だ。

 山林が多く海に囲まれた日本では、風力で主流の「陸上型」が伸び悩む一方、規模を大きくしやすく欧州で普及が進む「洋上型」に関心が高まっている。政府は、海域の利用ルールを定めるなど、本格的な開発を促す環境整備を急がねばならない。

 海外で風力は、設備の大型化や発電コストの低下が進み、急速に伸びている。対照的に、国内での普及のペースは遅い。発電量に占める割合は1%に満たず、政府の導入目標も、30年度時点で2%弱と消極的だ。目標引き上げと政策によるてこ入れが欠かせない。

 洋上風力は、国内ではまだ小さな施設が数カ所稼働するだけだが、最近は東北や九州を中心に大がかりな計画や構想が浮上している。事業者の間では、広い海域を長く使える仕組みを求める声が強い。港湾以外の海域の利用は都道府県の条例に基づいて認められるが、期間は3~5年と短く、事業や資金調達の計画をたてにくいという。

 政府は全国統一のルール導入に向けて、今年春に法案をまとめた。国が洋上風力の「促進区域」を指定し、事業者を公募▽選ばれた企業に最長30年間の占有を許可、といった内容だ。同じ海域を以前から使う漁業者や海運会社らと利害を調整するための協議会も設ける。

 法案は、与野党が激しく対立した先の通常国会で、審議すらされなかった。早く成立させ、具体的な区域の指定など、次の作業を急ぐべきだ。

 ただ、開発の枠組みができても、普及の壁となっている要因はほかにもある。

 まず解消すべきは、送電線網の「空き容量不足」を理由に、再エネ事業者が希望通り接続できない問題だ。送電設備を有効活用するために運用を見直しているが、それに加え、ニーズの高い地点で設備の増強が進むよう、費用負担のルールを整える必要がある。

 通常数年かかる環境影響評価(アセスメント)も、改善の余地がある。調査や審査の質に影響しない作業は並行して進めるといった工夫を重ね、期間の短縮をはかってほしい。

 欧州では、送電線網の確保や環境アセスなど、立地関係の調整を政府が主導し、風力拡大に効果をあげている国がある。日本も成功例を参考にしながら、事業参入のハードルを下げ、風力が本格的に伸びていく状況をつくらねばならない。

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