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 天気予報を民間で出せるようにして広く役立てよう。そんな狙いで気象予報士の資格が導入されて来年で25年になる。

 合格者は累計で1万人を超えた。だが、せっかくの人材を十分に活用できているだろうか。制度や意識の見直しを進め、防災力の強化につなげたい。

 資格ができた後、気象情報会社がいくつも設立され、地域や時間帯ごとにきめ細かな予報が提供されるようになった。改革の意義を実感する場面だ。だが気象庁によると、気象に関係する仕事についている予報士は限られ、「資格を生かせる場がない」との声も少なくない。

 そんな状況を反映してか、試験の受験者数はこの十数年、減少傾向にある。8月の第50回試験では約2900人と、最多だった06年の6割弱だった。

 資格をもつ人が埋もれ、受験者も先細りでは、予報の有効活用につながらない。

 西日本豪雨では避難情報が住民の行動に結びつかず、自治体の対応が課題になった。いま必要なのは、技能をもつ人と現場を結びつける仕掛けである。

 気象庁は一昨年、全国6市に予報士6人をアドバイザーとして派遣するモデル事業を実施した。夏の4カ月間、市で働き、台風接近時に雨のピーク時間帯を防災担当の職員に助言するなどして、好評だった。

 この春には57人の派遣候補者を決めた。災害関係の法体系や自治体の防災活動のあり方、避難勧告・指示を出す際のガイドラインなどを研修し、災害発生を想定した演習もした。刻々と変わる気象情報から、首長に何を、いつ助言すべきかを考え、身につけさせるためだ。

 だが自治体側の動きは鈍い。予算措置などクリアすべき課題はあるだろうが、災害は待ってくれない。もっと前向きに受け入れを考えてはどうか。

 予報士の側も問われる。

 最近は予報の精度が上がり、個人でもスマホひとつで簡単に入手することができる。天気図を読むだけではなく、そこから得られる情報を整理・分析し、住民の防災行動に確実に結びつける。そんな「仲介者」としての能力が求められる。

 かつてその地域でどんな災害が起きたのか。過去を踏まえたとき、土砂災害や河川の氾濫(はんらん)が起きそうな地点はどこか。避難所の設置場所に問題はないか。それらに加え、災害時の国や自治体の権限・役割分担にも通じておかなければならない。

 自ら考え、日ごろ研鑽(けんさん)を積む。そうすることによって、必要とされる場が開けてくる。

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