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 中央省庁が障害者の雇用数を水増ししていた問題で、第三者委員会の検証報告や地方自治体の自主点検結果が公表された。

 国の行政機関での不正事例は3700人分に上る。新たに公表された都道府県・市町村などの約3800人分と合わせると、過大計上は約7500人分にもなる。国会や裁判所でも同様の事例が見つかっている。

 信じ難いほどの不正の広がりだ。だが、なぜ水増しが行われるようになったのか、肝心な点が解明されていない。

 そもそも1カ月余りでの検証には、限界がある。調査を続け、歴代の関係者も含めて責任の所在を明確にし、厳正に対処すべきだ。不正の根を突き止め、絶つことなしに、再出発はあり得ない。

 第三者委によれば、各省庁は障害のある職員が退職した際、多くの場合、在職している職員の中から新たに障害者を選び、雇用率に算入していたという。まさに法定雇用率を充足するための「数合わせ」ではないか。

 手法も悪質だ。「うつ状態」と自己申告した職員などを、臓器などの内部機能に障害がある「身体障害者」としたり、長年引き継がれてきた名簿をもとにすでに退職した人や亡くなった人を加えたりしていた。

 再発防止のため、厚生労働省が各省向けの手引を作成し、各省庁でも複数の職員によるチェックを強化するというが、不十分だ。第三者委は、各省庁への指導監督体制の不備も指摘している。早急に見直すべきだ。

 水増しの発覚で下がった障害者雇用率を上げるため、政府は2019年末までに、計約4千人の障害者を採用する方針だ。早急な是正は必要だが、「数合わせ」に終わってはならない。

 やりがいを持って働ける職場の環境づくり、その人に適した仕事の内容や働き方の工夫、サポート体制がなければ、長く働き続けることは難しい。

 障害者の社会参加にとどまらず、共に働くことは誰もが働きやすい職場の実現にもつながる。共生の理念が政策に反映される意義も大きい。

 そんな障害者雇用の原点に立ち返り、それぞれの人が能力を発揮できる職場改革に取り組まねばならない。

 今年4月から法定雇用率が引き上げられ、民間でも障害を持つ人を活発に採用している。民間と奪い合うのでは、障害者の雇用を広げることにならない。民間でなかなか採用が進まない精神・知的障害の人たちの働く場を広げることこそ、公的機関の役割ではないか。

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