[PR]

 金融機関の口座のうち10年以上出し入れがない休眠預金を、さまざまな社会課題に取り組む民間団体の活動に役立てる――。この新たな試みの開始まで1年となった。

 議員立法で2年前に法律ができた。政府が準備を進めているが、資金配分の仕組みへの懸念や、担当する内閣府が情報公開に消極的なことへの批判が、NPOなどから相次いでいる。

 休眠預金は年に700億円ほど生まれている。国民の貴重な財産の一部を民間の活動への助成や貸し付けに回すだけに、制度づくりには開かれた議論と幅広い合意が大切である。

 休眠預金の使い道は、行政ではなく、民間が決めるのが特徴だ。司令塔役となる「指定活用団体」から、全国各地の「資金分配団体」を通じて、NPOなどにおカネが届く。

 では、どのNPOを対象とするのか。懸念が多く示されているのは、その選定のプロセスに絡む「成果」と「評価」のあり方だ。

 資金を使いたいNPOは、目指す成果とそれを実現するための道筋を明示しなければならない。助成を受けた後も、達成度合いの自己評価を求められる。

 預金を無駄にしないために欠かせない作業ではあるが、非営利団体の社会課題への取り組みは企業の活動とは異なる。成果をどのように評価するべきか、ことは簡単ではない。

 例えば、慢性的な疾患をもつ人への支援の成果を、どうしたら客観的に示せるだろうか。わかりやすさを優先して、成果を数値で表すことにこだわりすぎれば、それになじむ分野や活動に資金が集中しかねない。

 ところが内閣府は、指定活用団体が評価に関する指針を示すと答えるばかり。その指定活用団体の公募は今月上旬にあり、応募団体の中から年内に一つが選ばれるが、内閣府は名乗り出た団体名を公表していない。

 審査を中立・公正に行うために伏せるという。理解に苦しむ説明である。大阪のグループが自ら応募を明らかにしたほか、今夏に設立趣意書をまとめた経団連主導の団体なども応募したと見られるが、密室での選考は逆に「出来レース」との疑念をうみかねない。

 指定活用団体のあり方は、制度全体を左右する。手を挙げた団体とその理念や計画を広く示し、議論を喚起すべきだろう。

 休眠預金活用という社会実験を成功させるには、実際におカネを使って活動するNPOの支持がカギとなる。そのことを忘れてはならない。

こんなニュースも