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 やはり記者は殺されていた。

 政府に批判的な人物の命を、口封じのために奪う。そんな蛮行が許されるはずがない。サウジアラビア政府は、真実を明らかにする重大な責務がある。

 サウジ人記者のジャマル・カショギ氏がトルコ・イスタンブールのサウジ総領事館で死亡した事件で新たな展開があった。

 トルコのエルドアン大統領がおととい、「事前に計画された殺人だった」と断言したのだ。捜査の結果明らかになった事実として、国会で表明した。

 「総領事館にいた数人との間でけんかになり、過って死なせた」。そんなサウジ政府の説明を真っ向から否定する内容だ。

 サウジ政府は、事件にかかわったとして18人を拘束して取り調べている。だが「偶発的な死」という結論ありきの捜査では、真相が明らかになるとは思えない。

 サウジが開いた国際経済会議には、国際機関や世界を代表する企業のトップが参加を予定していたが、相次いでキャンセルした。投資見合わせや合弁事業の中止など影響は広がる。

 サウジは人権と法の秩序を尊ぶ国なのか。国際社会の一員にふさわしいのか。厳しく問われていることをサウジ政府は自覚しなくてはならない。今後、国際機関などによる調査があれば、全面的に協力すべきだ。

 民意をくみ取る議会もなく、王家が絶対的な力を持つ国である。政権中枢、とりわけ実質的に国政を取り仕切っているムハンマド皇太子の指示や関与がなかったのか。国際社会は強い懸念を持っている。

 強権的な姿勢はかねて指摘されてきた。イエメン内戦への介入や、イラン、カタールとの断交など強硬な外交を主導したとされる。国内では汚職摘発を理由に政敵を大量に拘束した。

 そんな皇太子を擁護する姿勢を見せたトランプ米大統領の対応は大いに問題だ。米政府はおととい、サウジの一部当局者らの入国禁止を決めたが、まだ限定的な処置に過ぎない。事件を指示した責任者を追及し、強い制裁も検討する必要がある。

 事件の発生国トルコは真相究明を最優先すべきだ。悪化しているトランプ政権との関係改善を模索しているが、外交上の利害計算を持ち込むようなことがあれば、国際社会の厳しい視線はトルコにも向かうだろう。

 世界最大の石油輸出国という影響力の前に、サウジの非民主的な体質を見逃してきた国際社会は、今回の事件を機に大いに反省すべきだ。その中に日本が入ることは言うまでもない。

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