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 大災害の時、電力供給の被害をいかに抑えるか。北海道で9月に起きた大停電から多くの教訓を引き出し、リスクの分散を着実に進めることが大切だ。

 大地震後に道内のほぼ全域が停電した「ブラックアウト」について、国の認可法人、電力広域的運営推進機関(広域機関)の検証委員会が、原因分析と当面の再発防止策をまとめた。

 北海道電力に対し、発電所の連携強化など、さまざまな運用改善を求めた。まずは、電力消費が増える冬を乗り切るため、万全を期す必要がある。

 大停電では、被災した苫東厚真火力発電所に管内需要の半分を担わせていた集中運用の是非が問われたが、検証委は「不適切とは言えない」との見解を示した。主な根拠は「全域停電は苫東厚真の停止だけでなく、送電線事故との複合要因で起きた」という分析結果だ。

 だが、いくつもの疑問が浮かぶ。大停電は東日本大震災でも起きた。北海道電は、供給力の急減に十分な備えをしていたのか。目先の発電コストの安さを優先して苫東厚真への依存を強め、他の発電所などの整備が遅れた面はなかったか。

 検証委はこれらの点に踏み込まなかった。背景の要因や根本的な課題の洗い出しが不十分と言わざるを得ない。

 経済産業省と広域機関には、幅広い観点で検証を続け、問題点と解決の道筋を明らかにする責任がある。教訓を電力業界と共有し、災害に強い電力供給網を整備しなければならない。

 今回の大停電があぶり出したのは、「大規模集中型」の供給体制のもろさだ。大型火力や原発が被災すると、供給力は一気に低下する。発電所が集中する地域は、東京湾岸など大都市圏にもある。大手各社は電源や送電線網を点検し、リスクを下げる対策を進めてほしい。

 中長期の方向としては、電力インフラを再構築し、必要な電力はできるだけその地域でまかなう「自立分散型」に近づけることを軸に据えるべきだ。

 その土地の環境に応じ、太陽光や風力、バイオマス発電などを増やす。天候で出力が変わるのをならす調整力として、低コストの蓄電池などの開発と普及を進める。広域の送電線網を整え、電力会社同士で過不足を補い合えるようにする。

 こうした構造転換には、多くの費用と時間がかかる。経済性と安定供給のバランスをどうとるかも課題だ。その解決に向け、設備投資や研究開発に企業が取り組める環境を、政府は整えなければならない。

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