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 政治家は、政治活動にからむ疑惑を指摘されれば、進んで疑いを晴らすのが当然だ。訴訟を口実に説明を拒み続けるのは、不誠実と言うほかない。

 先の内閣改造で初入閣した片山さつき・地方創生相のことである。週刊文春が2週続けて、国税庁への口利き疑惑を報じた。税務調査を受けた企業の経営者が3年前、片山氏側に国税庁への働きかけを依頼し、見返りとして、税理士でもある片山氏の私設秘書に100万円を支払った、という。

 片山氏は口利きも謝礼の授受も全面否定している。名誉を毀損(きそん)されたとして、週刊文春の発行元である文芸春秋に1100万円の損害賠償を求める訴訟も起こした。

 ただ、記者会見などで、事実関係の詳しい説明を再三求められても、訴訟を理由に弁護士から止められているとして、きちんと応じていない。

 経営者は本紙の取材に対し、口利きの依頼と100万円の支払いは「間違いない」と語っている。税理士も金を受け取ったことは認めた。

 疑いを持たれたまま、大臣としての職務を全うすることができるだろうか。潔白だと自信があるのなら、訴訟と並行して、国民への説明をためらう必要はないはずだ。

 安倍首相は唯一の女性閣僚として、片山氏に「2人分、3人分の発信力」を期待すると語った。にもかかわらず、事態を重く受け止めて、片山氏に説明を促した形跡はうかがえない。菅義偉官房長官は「大臣が自ら説明責任を果たしていく」と、まるでひとごとのようだ。

 首相は自らにかかわる森友・加計問題の真相解明にいまだ後ろ向きである。口利きに絡む金銭授受疑惑で、2年前に経済再生相を辞任し、その後、今に至るも、まともな説明をしていない側近の甘利明氏を、先の党役員人事で、党4役の選挙対策委員長として復権させた。

 首相のこうした姿勢が、政権全体の規範意識の低下を招いているのではないか。

 新内閣の閣僚や政務官には、談合で行政処分を受けた企業から献金を受けたり、会費制で開いた「集会」の収入を政治資金収支報告書に記載していなかったりと、「政治とカネ」をめぐる問題が相次いで明るみに出ている。

 来週から本格化する国会論戦では、閣僚らの資質に対し、野党の厳しい追及が予想される。片山氏が国会でも、答弁回避を連発するようなら、政権全体の信頼を損なうだけだ。

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