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 鼻から胃に入れたチューブを使って栄養をとる、たんを機械で吸い取る、人工呼吸器をつけている――。そうした医療的ケアを日常的に受けて暮らす、「医療的ケア児」と呼ばれる子どもたちとその家族を、社会の一員としてどう支えていくことができるのか。

 医療が進歩し、体が小さい、あるいは重い病気でも赤ちゃんの命を救える時代に、増えている子どもたちだ。寝たきりや車いすの子もいれば、走り回る子もいる。自宅で過ごせるが、命に直結するケアが欠かせない。

 医療的ケア児の存在は2年前、初めて児童福祉法に記され、支援体制を整えるのは自治体の努力義務とされた。

 しかし現実は、法改正のめざすところからはほど遠い。

 厚生労働省の研究班によると、0~19歳の医療的ケア児は2016年に推計で約1万8千人。文部科学省の17年度の調査では、公立の特別支援学校で8218人、公立の小中学校で858人が学ぶ。ただ、どういうケアを必要とする子どもがどこに何人いるのか、正確につかめているとは言いがたい。

 国や自治体はまず、病院や医師などとも連携して、親や子どものニーズがどこにあるかを、一つずつつかみたい。

 親たちが直面する悩みは様々で深刻だ。短時間でも子どもを預けられる場所は不足し、多くはほぼ24時間、家族がつきっきりだ。歩けて元気そうでも医療的ケアが必要だということを理由に、希望する保育園や学校に通えない子どもは少なくない。

 東京都世田谷区は、保健師などからの報告に基づき、4月現在で18歳未満の医療的ケア児が156人いると確認した。今年は一般の区立保育園1園に看護師を2人置き、親が付き添わなくてもケアできるようにして1人を受け入れた。今後5園に増やす方針で、それぞれの子に応じたマニュアルづくりなど、小中学校でも対応できるよう準備を進めている。

 埼玉県東松山市では、相談があれば、看護師がいる保育園で受け入れできるかどうか、親の意見を聞きながら、市の担当者や医師、保健師などが協議するしくみを採り入れている。

 文科省は、学校への看護師の配置を増やせるよう、補助金を手厚くしていく方針だ。

 いまある社会保障制度では十分に届かない支援の手を、何とか差し伸べようという試みだ。看護師不足や予算といった課題もあるが、まず何ができてどんな選択肢を示せるのか、知恵を出し合いたい。

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