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 自らの意に沿う与党の質問には滔々(とうとう)と応じる一方、野党の質問には通り一遍の説明に終始する。首相の答弁がこれでは、議論が深まるはずがない。

 安倍首相の所信表明演説に対する代表質問がきのう、衆院で始まった。

 政府が今国会での成立を急ぐ、外国人労働者受け入れ拡大に向けた出入国管理法改正案について、立憲民主党の枝野幸男代表は、職場環境、日本語習得、住宅問題、社会保障などの課題をあげ、受け入れ態勢整備の具体策をただした。

 国民民主党の玉木雄一郎代表も、「外国人と共生できる社会づくりに正面から取り組むべきだ」と迫った。

 これに対し、首相は「移民政策」への転換には当たらないと強調し、環境整備の具体案を語ることはなかった。

 政権への追及と同時に、野党側からは政策の対案の提示も目についた。来年夏の参院選に向け、安倍政権に代わる選択肢をアピールする狙いだろう。

 枝野氏は、国会に提出済みの原発ゼロ基本法案に加え、分散型エネルギー社会推進4法案、「公文書記録管理庁」設置法案などを準備中だと説明。玉木氏も日米地位協定の改定や思い切った子ども・子育て支援策の実施を求めた。

 しかし、首相が正面から受けとめることはなかった。見解を示さなかったり、議員立法については「国会が決めること」と取り合わなかったりした。

 一方、首相が雄弁になったのが、重用する自民党の稲田朋美・総裁特別補佐から憲法9条に自衛隊を明記する改憲案についての見解を問われた時だ。

 「首相としてお答えすることは差し控えたい」と言いながら、「自民党総裁として一石を投じた考えの一端」として、「命を賭して任務を遂行する隊員の正当性を明文化することは国防の根幹にかかわる」などと強い意欲を示した。

 きのうの代表質問は、開会が45分遅れるという異例の事態となった。議会運営の要、衆院の議院運営委員長である自民党の高市早苗氏が先週示した国会改革の試案に野党が強く反発、撤回に追い込まれたからだ。

 試案には、議員立法の審議には、会期末前の「残った時間」を充てるという項目があった。政府提出法案の審議という行政府の都合を優先するもので、不見識というほかない。

 森友・加計問題を受け、いま最優先で求められる国会改革は、行政監視機能の強化であることを忘れてはならない。

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