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 医学部入試をめぐる混乱は一向に収束が見えない。各大学は社会への責任を果たすために何をすべきかを真摯(しんし)に考え、実行に移さなければならない。

 文部科学省が全国の81の医学部を調査したところ、東京医科大のほかに少なくとも六つの大学で、女子や浪人生を不利に扱うなどの不公正な選考をしていた疑いが浮かんだ。

 柴山昌彦文科相が会見で自主的な公表を促してから、あすで3週間になる。昭和大が現役生などを優遇していたと認め、第三者委員会を設けて検証を受ける考えを明らかにしたが、それ以外に不正を認めたところはない。順天堂大は第三者委の設置を表明したものの、大学としての見解は先送りとなっている。

 文科省から「疑い」を指摘された大学は、速やかに説明責任を果たさなければならない。

 多くの大学で推薦入試の出願が始まっている。これまでの選考の当否について黒白をつけないまま、受験料を徴収して入試を行う。それは、受験生の進路選択を誤らせる背信行為であり、許されるものではない。

 不正はなかったと信じて志望した学生が、後に実際はそうではなかったと知った時の戸惑いや悔恨について、想像力を働かせてしかるべきだ。不適切なことはしていないというのなら、その旨を公表すればいい。

 仮にこのまま「沈黙」が続いた場合、文科省がどう対応するかも焦点になってこよう。

 東京医科大では不正な得点操作で、17、18年度の一般入試だけで69人が不合格になった。性別や年齢によるものだけでなく、高卒認定試験で資格を得た人なども不利な扱いを受けた。

 入学者選考は大学の判断に委ねられているのだから、一概に悪いと言えないのではないかとの声も一部にある。だがいくら裁量の幅があっても、入試方法は公正・妥当でなければならない。当たり前の話だ。大学設置基準にも明記されている。

 そもそも人の属性を合否の物差しにするなら、入試を行う意味はないではないか。学力試験を課して学生を選抜するのは、予断を排して一人ひとりの力を測るためであるはずだ。

 東京医科大については、年末に交付予定だった私学助成金が保留とされ、支給の可否や減額の幅が検討されるという。

 教育機関である大学が、機会の均等と学生の多様性をないがしろにしていた。そのことが受験生と社会に与えた不信感は極めて大きい。自覚があれば、せめて今どう振る舞うべきか、答えはわかるはずだ。

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