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 外国人労働者の受け入れを広げるための出入国管理法改正案が、きのう閣議決定された。

 見切り発車とはまさにこのことだ。社会のありようを大きく変える可能性をはらむ政策である。政府はごまかしや言い逃れをやめ、真摯(しんし)な姿勢で国会審議に向き合わねばならない。

 先立つ与党審査で、生煮えの提案であることが浮き彫りになり、3年後の見直し規定が急きょ追加された。無論この修正で問題が解決したことにはならない。それは、ここまでの国会でのやり取りからも明らかだ。

 どんな業種に、どれくらいの数の外国人を迎えようとしているのか。この根本的な問いにすら山下貴司法相は答えられず、「現在精査している」と述べるのがやっとだった。

 安倍首相も同様だ。移民政策への転換ではないのかとの指摘に対し、移民政策を「一定規模の外国人を期限を設けることなく受け入れ、国家を維持する政策」と独自に定義し、それには当たらないと繰り返した。

 1年以上その国に住めば移民と扱うのが国連などでは一般的だが、首相は「違うから違う」と言うだけだ。そして外国人労働者の支援策については、「検討を進めている」にとどまる。

 目の前の人手不足に対処するため、とにかく外国人に来てもらうようにする。だがそれ以上のことは説明できない。要はそういう話ではないか。

 法案通りに新たな就労資格が設けられれば、日本で10年以上働く外国人労働者が生まれる。移民と呼ぼうと呼ぶまいと、外国人も、そして受け入れる日本人も、ともに安心して過ごせる未来像を、責任をもって示すのが政府の役目のはずだ。

 だが法案を読み返しても、その姿は一向に見えない。法成立後に、簡単な手続きで改廃できる省令などで定める事項が、とても多いためだ。政府や産業界の意向次第でいかようにもなり得る不安定な受け入れ態勢で、就労先に日本を選ぼうという外国人がどれほどいるのか。そんな疑問もわいてくる。

 与党審査では、治安悪化への懸念をはじめ、「いかに管理するか」という視点からの議論が多かった。相手は生身の人間だという当たり前の視点が、欠けていたと言わざるを得ない。

 外国人受け入れの影響は、教育、社会保障、税、自治体行政など様々な分野に及び、法務委員会の手にあまる。多面的・多角的な検討ができる場を設け、熟議を重ねる必要がある。

 今国会での成立ありきで突き進むことは許されない。

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