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 旧優生保護法の下で障害者らに強制不妊手術が行われた問題で、与党ワーキングチームと超党派の議員連盟がそれぞれ、救済法案の大枠を決めた。

 手術を強制された人だけでなく同意していたとされる場合や、子宮摘出など法を逸脱した手術も対象とする。手術の記録がなくても、医師による手術痕の確認などで被害を認める。専門家からなる審査会を設け、申請を受けて被害者本人に一時金を支給する。法案には「反省」と「おわび」を明記する。

 二つの案に大きな違いはなく、一本化する作業が近く始まる見通しだ。幅広い救済に向けて、一歩前進といえよう。

 ただ、実際に救済につなげるには、なお課題が残る。救済制度をどうやって知らせるかは大きなポイントだ。

 与党、超党派議連とも、制度を積極的に広報すると強調する一方、調査で名前がわかった人への個別通知は見送る考えだ。手術を受けたことを周囲に知られたくない場合などでトラブルが生じかねないからという。

 確かに被害者のプライバシーへの配慮は大切だ。ただ、不妊手術は知的障害者らが対象とされ、被害者が手術を受けたことを自覚していない例も少なくないと見られる。

 制度を設けても救済につながらないのでは意味がない。まずは対象者であることを通知によって伝えることが必要ではないか。その上でプライバシーをどう守るか、障害者団体や弁護団と知恵を絞ってほしい。

 被害を認定する審査会については、厚生労働省に置くことが打ち出された。救済手続きを迅速に進めるためという。

 しかし、厚労省は長年、被害者の声に耳を貸そうとせず、救済を放置してきた。その厚労省が救済を主導することになりかねないとして、被害者や弁護団は反発している。どのような体制がよいか、いま一度練り直すべきだ。

 手術を受けたのは2万5千人にのぼる。自治体や医療・福祉施設などに残された記録から氏名が判明したのは、現時点で2割に満たない。名前すらわからない被害者に名乗り出てもらうためにも、明確に謝罪の意を表すことが不可欠だ。「反省」と「おわび」で十分か、さらに検討を重ねる必要がある。

 弁護団によると、かつて強制不妊手術が行われ、補償をしたスウェーデンでは、実際に償われたのは対象者の1割ほどにとどまったという。先例から教訓をくみつつ、一人でも多く救済しなければならない。

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