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 めざす効果があるのか疑わしく、課題ばかりが目につく。こんな政策は撤回すべきだ。

 消費税率を10%に引き上げるときの経済対策として、安倍首相が検討を指示したキャッシュレス決済でのポイント還元策のことだ。クレジットカードなど現金以外で買い物した客に一定期間だけポイントがつき、かかる費用は国が補助するという。

 この施策に、「引き上げ前後の消費の変動をならす」といった増税対策としての効果が、どれほど期待できるのだろうか。

 国がお金を出してポイントを還元する店は「中小」に限るというが、どの店が対象なのか、わかりにくい。現金で買う客が多い店にとってはメリットが少ない。食品などには軽減税率が入り、店頭での支払いは複雑になるばかりだ。しかも、使い過ぎが心配、収入が少ないなどの理由で現金しか使わない人には恩恵がなく、不公平だ。

 政府はカード会社に、店から取る手数料の引き下げを求める考えだが、民間のビジネスに介入する権限はないはずだ。

 キャッシュレス化はもともと、日本にくる外国人の増加も見込み、経済産業省を中心に進めていた政策だ。推進すべきなら、増税対策に便乗せずに、別建てで予算化すればよい。

 首相の指示の後、公明党は低所得者向けの対策として、プレミアム商品券の発行を主張し始めた。首相も「趣旨を十分に踏まえ具体的内容を検討したい」と前向きな考えを示している。

 こちらも精査が必要だ。

 低所得者向けの対策が、すでに決まっている軽減税率や給付金などで不十分なら、まず、どんな人に、どの程度の支援が足りないのかを洗い出すべきだ。そのうえで、使える期間や地域が限定された商品券が好ましいのか、現金を渡すのがよいのか、他の手法はないのかを、考えるのが筋だ。

 消費税率を8%に上げた2014年度の補正予算では、国の交付金を使い、地域の消費喚起や低所得者への生活支援を目的に、商品券やサービス購入券の発行など5種類の事業が自治体に認められた。今回も公明党は「商店街振興にも有効」としており、使える対象や金額はふくらむ可能性がある。

 消費増税対策では、住宅や車の購入支援策の拡大も案に上がっている。全体としてどんな対策が欠かせないのかという議論もないまま、特定の役所や政党の思惑が先行した政策をつぎはぎして、ばらまくのか。これでは、消費増税するそもそもの意義が置き去りになりかねない。

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