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 問題解決の見通しがないまま、原発の再稼働によって確実に増えるやっかいなものがある。使用済み燃料だ。

 政府の掲げる核燃料サイクル計画では、青森県六ケ所村で建設中の再処理工場に運び、プルトニウムを取り出すことになっている。それを見込み、電力各社は現在、使用済み燃料のほとんどを、原発にあるプールのなかで冷却水を循環させながら保管している。

 福島第一原発の事故では、停止中だった4号機のプールの冷却機能が電源喪失により損なわれ、水位が下がるなどして危機的な状況に陥った。万全な保管方法でないことは明らかだ。

 一方、再処理工場の完成は20回以上も延期され、使用済み燃料を原発からいつ搬出できるのかわからない。そもそも核燃料サイクルは破綻(はたん)しており、再処理工場は稼働させるべきでもない。それなのに、原発のプールでいつまでも使用済み燃料の保管を続けるのは、無責任だ。

 使用済み燃料から出る高レベル放射性廃棄物の地層処分をめぐっては昨年、候補地となりうる地域を示したマップが公表され、各地で政府主催の説明会が開かれている。だが、多くの知事が処分地受け入れの考えはないと表明し、立地の難しさが浮き彫りになった。最終処分地の建設には、極めて長い年月がかかることを覚悟するべきだ。

 せめて、すでに存在する使用済み燃料を、少しでも安全に保管するにはどうしたらよいか。現実的な選択肢として考えられるのが、水や電気を必要としない空冷の容器で保管する「乾式貯蔵」への移行だ。

 すでにいくつかの電力会社は検討を始めている。

 伊方原発を再稼働させた四国電力は今年、敷地内での乾式貯蔵施設の建設を公表し、玄海原発を抱える九州電力も検討中だ。福井県では、高浜原発や大飯原発の再稼働の条件として、県外で乾式貯蔵することを知事が求め、関西電力が候補地を探している。

 ただ、こうした動きの背景には、燃料プールが満杯に近づきつつあり、このままでは原発の運転が続けられなくなるという事情がある。

 乾式貯蔵への転換はあくまで、現在の保管方法がはらむリスクを減らすための措置だ。原発の運転を続ける口実にしてはならない。

 むろん原発敷地の内外を問わず、施設の設置に当たっては地元住民の理解が欠かせない。貯蔵期間や容量について、丁寧に合意形成を図る必要がある。

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