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 米国による独りよがりの制裁である。中東の安定にも、世界の経済にも、弊害をもたらす。トランプ政権のたび重なる暴走への対処を、国際社会は結束して考えるほかない。

 中東の地域大国イランに対し米政府がきのう、制裁を全面復活させた。原油の輸出や金融取引などを対象にしている。

 ロシアや中国だけでなく、英仏独など西欧諸国も強く反対してきたなかでの強行である。同盟国の声にも耳を傾けず、国際枠組みを損ねるトランプ流の外交が、また繰り返された。

 イランへの制裁は、核開発をめぐる3年前の国際合意まで広範に続いていた。当時のオバマ米政権をはじめ主要国は合意に沿って、制裁をゆるめた。

 イランに孤立から抜ける道を用意する一方、核開発を規制して世界の安全保障を探る。その歴史的な取り組みを、トランプ政権は一方的に破棄した。

 ミサイル開発などをめぐり合意に欠陥があるというのが理由だが、実際にはイランを嫌う米国内の自身の支持層の歓心をかう狙いとみられている。

 イランが合意を守っていたことは国際原子力機関も認めている。さらに理不尽なのは、米国の制裁は、イランと商取引をする第三国にも及ぶことだ。

 米国は日本や中国、韓国など8カ国・地域に180日間の猶予を設けたようだが、恩恵と呼ぶ筋の話ではない。妥当性の乏しい制裁自体を再考すべきだ。

 この事態に敢然と対応しているのは欧州諸国である。欧州委員会は、欧州の企業が米制裁に従うことを禁じた。イランと金融取引を続けるための事業体の新設も発表した。

 本来、世界の安定のため協力すべき欧州と米国が反目する。憂うべき事態である。だが、いまの米国に唯々諾々と追従するだけでは国際秩序を保てない。

 イラン核合意を維持させるために国際社会は何ができるか。欧州の試みに、イランの原油を多く輸入しているインドや中国など他の有力国も、積極的に方策を探るべきではないか。

 日本も、イランと長い関係をもつ国である。原油輸入量に占めるイラン産はいま約5%だが、2000年代は15%前後だった。調達先の多角化の点でも中東の安定は欠かせない。

 トランプ大統領は、イランの対立国イスラエルに極端に肩入れし、記者殺害で批判されるサウジアラビアも擁護する。米国が中東の和平仲介者の役割から遠のくいま、地域の火種を抑える責務は、米国以外の主要国が幅広く担うしか道はない。

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