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 無資格検査に排ガス・燃費データの改ざん、そしてブレーキ検査不正。自動車大手のスバルで、不正の発覚が止まらない。利用者に対する背信行為と言える事態だ。

 9月に国交省に報告した時点では、ブレーキなどでの検査の不正は昨年12月までとしていた。しかしその後の調査で、不正が先月まで続いていた可能性があることが分かったと、おととい発表した。乗用車10万台について、新たにリコール(回収・無償修理)を届け出る。

 ブレーキは自動車の安全性能の根幹にかかわる。スバルでは、その検査での不正行為が長年にわたって続いていた。9月に公表された外部の弁護士らによる調査報告書によると、メインブレーキを踏んだだけでは制動力が検査規格に達しない場合に、ハンドブレーキも同時に引くといった不正があった。

 弁護士らの聞き取りに対し、検査員らは、検査をやり直したり不合格にしたりすると、作業が滞ることを、不正の理由に挙げたという。検査の適正さより製造のスピードを優先する姿勢が検査員を深く覆っていたことは、スバル車への信頼を大きく傷つけた。

 さらに今回の発表では、現場と経営層の溝の深さが改めて浮き彫りになった。スバルは昨秋以降、不正が明らかになるたびに、国への報告や謝罪を繰り返した。6月には前社長が責任をとり、代表権を返上している。それでも、現場では不正が続いていた。

 社内調査に加え、外部の弁護士の調査でも不正の全容は把握できず、先月の国交省の立ち入り検査をきっかけにようやく直近までの不正が判明した。なぜ現場の社員に問題が共有されてこなかったのか。経営陣は組織や業務のあり方を一から問い直す必要がある。

 スバルは、検査装置の改修や監視員の配置、再教育の実施といった再発防止策に加え、検査員への負荷を減らす対策を取るとしている。いずれも必要な措置だが、問題の根は深く、立て直しは簡単ではないだろう。

 検査不正をめぐるリコール費用の拡大や生産の減少で業績への悪影響も大きくなっている。さらに、エンジン部品の不具合で国内外41万台のリコールも別途公表している。

 中村知美社長はおとといの会見で「急成長にともなうひずみで、気の緩みがいろんなところであったのではないか」と述べた。今後は品質第一を徹底するという。背水の陣との覚悟で、信頼回復に臨まねばならない。

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