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 異様な選挙だった。罵倒とウソが乱れ飛び、人びとの憎悪と恐怖心をあおる。全国民を代表するはずの大統領が、敵と味方に国を裂く張本人だった。

 米国の分断は、いっそう深まっている。6日に投開票された中間選挙の経過と結果は、その深刻さを浮き彫りにした。

 この国の政治は引き続き視界不良のままだろう。日本を含む国際社会は、その認識のもとで対米関係と世界秩序を守る方策を考えねばなるまい。

 トランプ氏への審判は、明白な勝敗にならなかった。議会の下院を野党民主党が奪ったが、上院は共和党が有力対立候補も破って過半数を守った。

 もともと中間選挙は、政権与党が議席を減らす傾向がある。それを考えれば、2年前の大統領選で世界を驚かせた「トランプ現象」は、なお一定の勢いを保っているといえるだろう。

 両院の分断は、ますます政治の機能不全を招くはずだ。果てしない政争の敗者は、ほかならぬ国民である。今は好調とはいえ米国経済は、妥協を見いだせない政治が慢性的な懸念材料と市場から目されている。

 この選挙を機に米国議会は、大統領への監視と抑制を働かせる重責を取り戻すべきだ。

 まずは共和党である。この2年間、議会や司法への侮蔑的な言動も重ねた大統領に迎合してきた。伝統的な同盟・友好国との絆や、自由貿易を重んじた党の理念はどこへ行ったのか。

 民主党の責任も重い。中間層から脱落する労働者層に向き合う努力をどれほど積んだか。LGBT問題や銃規制など、リベラルへの期待を政治に取り入れる回路をどれだけ広げたか。

 問われているのは、米国が世界に自負してきたはずの多様な民主主義の再建である。

 今回の選挙での救いは、若者を中心に投票率が上がったと見られることだ。4年前に比べて期日前投票が大幅に増えたのは国民の危機感の表れだろう。

 米国政治の関心は今後一気に2年後の大統領選へ移る。健全な論議を通じて、国民が草の根レベルから民主主義の復元力を発揮するよう期待したい。

 トランプ氏は再選をめざし、なりふり構わぬ「米国第一」に走るだろう。北朝鮮の核問題や中国との貿易摩擦、日本との貿易交渉などで、無原則な主張を振り回すかもしれない。

 米国が不確実さを深める今、日欧など主要国は視野と思考を広げて連携強化の道を探るべきだ。米国がやがて指導的立場に戻る日が来るのか、残念ながら誰にも見通せないのだから。

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