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 政府の予算編成作業で数十年来続いてきた悪弊と、決別するときではないか。

 当初予算は歳出をできるだけ抑え、入りきらない分には、しばりの緩い補正予算でお金をつける。「補正回し」と呼ばれる手法のことだ。査定をする財務省が要求する各省庁と相談して、調整している。

 高齢化で、当初予算は政策にかけるお金の半分近くを社会保障費が占め、融通がきかない。国の借金が膨らむなか、せめて注目を集める当初予算では、財政規律を守っているように見せたくもある。そうした政府側の都合で毎年繰り返されてきた。

 そもそも、補正予算は財政法29条で「(当初)予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費」などに限る、と定められた臨時の対応だ。リーマン・ショックのような著しい景気の悪化や、大きな自然災害は、これにあたるだろう。

 実態は、どうなのか。

 第2次安倍政権がスタートした2012年12月以来、景気拡大局面が続いており、経済対策の必然性は乏しかったはずだ。そのなかで計9回、およそ30兆円の補正予算が組まれた。

 津波対策や台風、地震などの災害関連を除くと、予算をつけた経費の名称には「一億総活躍」「生産性革命」「人づくり革命」といった、政権が掲げた目玉政策のキーワードが並ぶ。

 具体的な事業をみると、「ものづくり・商業・サービス」の支援や保育の受け皿整備などは、複数年度にわたって補正に計上された。日本に来る外国人の増加を見越したWi―Fi(ワイファイ)やバリアフリーの整備、潜水艦など自衛隊の装備品の更新や購入も、補正で対応している。いずれも、必要ならば当初予算に盛り込むべきものではないか。

 やりたい政策を実施するために、財政規律は二の次に補正予算を使い続けてはならない。

 災害への対応など「緊要」の基準を、政府は明確にするべきだ。この先の財政状況にどう影響するのかも、補正を組むたびに国民に説明する必要がある。国会は短期間の審議で通すのではなく、与野党とも内容を精査しなければならない。

 安倍首相は国土強靱(きょうじん)化の緊急対策に力を入れるとしており、今年度の第2次補正予算が早々に組まれる可能性もある。税収はせっかく、バブル期並みの年60兆円規模が見込めるのに、歳出圧力を抑えなければ財政の健全化にはつながらない。悪弊と向き合い、次々にお金を使える抜け道はふさぐべきだ。

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