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 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設をめぐり、政府と沖縄県による集中協議が始まった。政府は「辺野古が唯一の解決策」という思考停止から脱却し、県の主張に耳を傾け、実効性ある打開策を探るべきだ。

 集中協議は沖縄県側が開催を求めた。杉田和博官房副長官と謝花喜一郎副知事の間で、今月末まで行われる。政府が対話に応じたのは、先の知事選で「辺野古ノー」を掲げる玉城デニー氏を圧勝させた民意を無視できなかったためだろう。

 しかし政府は、協議の最中も工事を止めないと表明した。話は聞くが、方針は変えないと宣言したに等しい。これでは、まともな話し合いにならない。

 8月に急逝した故翁長雄志(おながたけし)前知事のもとで15年に行った集中協議では、1カ月間、工事が中断された。今回、なぜ同じ対応がとれないのか、政府から納得できる説明はない。

 県は8月末に埋め立て承認を撤回したが、政府はその効力停止を決め、今月初めに工事を再開した。本来、国民の救済を目的とした行政不服審査法に基づいて防衛省が申し立て、それを身内の国土交通相が審査して認めたのだ。法の趣旨からの逸脱は明らかである。

 そうまでして急ぐ背景には、埋め立ての賛否を問う県民投票が、来年2月にも実施されることがあろう。その前に工事を進め、反対派の意思をくじくのが狙いとみられている。

 ところが、ここに来て、年内の土砂投入が難しくなった。土砂を運び出す港が台風で壊れ、復旧が来年にずれ込む公算が大きいためだ。ならば一層、工事を急ぐ必要はあるまい。

 辺野古移設の見直しを求める世論は全国に広がりつつある。朝日新聞社の10月の世論調査では、知事選の結果を受けて方針を「見直す必要がある」と答えた人が55%で、「必要はない」の30%を上回った。移設の賛否を問うた昨年4月の調査では賛成36%、反対34%と拮抗(きっこう)していたが、今年9月は賛成31%、反対45%と逆転した。

 沖縄の意思を直接訴えるため、米国を訪問中の玉城氏は11日、ニューヨーク大での講演後の質疑で「どんなに追い詰められても、対話というキーワードは絶対に捨てることはできない」と語った。

 日本政府はこの声にどう応えるのか。日米関係や地方自治、民主主義のありようまで複雑に絡まるのが「辺野古」の問題である。その糸を解きほぐす対話に、政府は今度こそ誠実に向き合わなければならない。

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