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 生態系がもたらす豊かな恵みを、いかにして守っていくか。その柱となる生物多様性条約の第14回締約国会議(COP14)が、今月17日から29日までエジプトで開かれる。

 8年前に名古屋のCOP10で決まった「愛知目標」は、2020年までに国際社会が達成すべき20の目標を打ち出した。今回の会議ではその成果を検証しつつ、次の目標をつくるプロセスを話し合う。

 生物多様性の保全は、地球温暖化の防止と同じく、世界が急いで取り組む必要のある課題だ。実りある国際会議にしなければならない。

 14年の国連報告書によると、愛知目標以降、生物多様性の考えが知られるようになり、生態系の保護地域が広がったり、国家戦略を策定・改定した国が続いたりしている。だが20の目標の下にある56の事項別に見ると、約3割が「進展なし」、6割近くが「不十分」だ。絶滅危惧種の数は右肩上がりで増え、乱獲、乱開発による生息地や個体数の減少も続いている。

 かぎを握るのは、生物多様性の保全を最優先の課題に位置づけるよう、社会を転換できるかどうかだ。そのために今回の会議では、特にエネルギー・鉱業、製造・加工業といった第2次産業で、このテーマを事業計画や経営方針に盛り込ませるための方策を検討する。

 国境を超える環境問題の解決には、国家の枠組みにとどまらず、企業やNPO、自治体などの積極的な関与が欠かせない。

 日本国内でも、第三者機関によって「環境や社会に配慮している」と認証された農水産物を大手スーパーが取り扱ったり、住宅大手が同様の木材を調達したりして、それが企業のブランドになっている。こうした芽を育て、全国、さらには地球規模に広げていく必要がある。

 愛知目標の達成状況は、「ポスト愛知目標」をどこまで踏みこんだ内容にできるかにつながる。そのためにも、官民それぞれの立場で取り組みを強化してもらいたい。

 新目標を定めるCOP15は、20年に中国で開かれる。各国に共通する産業界の慎重姿勢や、先進国と途上国の立場の違いなど、不安要因も少なくない。ホスト国となる中国のリーダーシップが問われる場面だ。

 日本はCOP10で愛知目標などを取りまとめた経験がある。それを踏まえて助言するとともに、来年6月に大阪で開かれるG20首脳会議で各国に働きかける責任がある。日本が果たすべき役割は大きい。

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