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 これが、安倍首相が胸をはる「適材適所」なのか。

 一昨日の衆院内閣委員会で、耳を疑う答弁があった。政府のサイバーセキュリティ戦略本部(本部長・菅官房長官)の副本部長を務める桜田義孝五輪相が、「従業員や秘書に指示してやってきたので、自分でパソコンを打つことはない」と明かしたのだ。

 USBについての知識も乏しかったのか、USBメモリーを使ったサイバー攻撃の危険性をめぐる議論も全くかみあわず、最後は「細かいことはよく分からない」と答えた。

 桜田氏は東京五輪に向けた態勢強化のため、政府が今国会成立を目指すサイバーセキュリティ基本法改正案の担当大臣である。就任から1カ月以上たつというのに、所管分野に関する基本的な問題意識がうかがえないのは、何としたことか。

 各国が喫緊の課題として力を入れているサイバーテロ対策を、日本政府が甘く見ているととられかねない。

 桜田氏は東京五輪をめぐる質疑でも、たびたび答弁に詰まった。「質問通告がなかった」と野党に責任を転嫁したり、記者会見を一方的に打ち切った理由を後からただされ、「記憶にない」と開き直ったりした。

 その姿勢からは、五輪への熱意も責任感も感じられない。職責が果たせないなら、閣僚にとどまる意味はない。

 閣僚としての資質が連日、国会で追及されているのは、片山さつき地方創生相も同じだ。

 週刊文春に報じられた国税庁への口利き疑惑については、裁判中であることを理由に詳細な説明に応じていない。加えて、政治資金のずさんな処理が次々と明るみにでている。

 政治資金収支報告書の訂正はこの1カ月で3度に及び、記載漏れは収入で34件計450万円、支出で6件計90万3千円にのぼった。政治資金の流れを公開し、国民の監視の下に置くという政治資金規正法の趣旨をどう考えているのか。

 いずれも初入閣の桜田、片山両氏は、与党内でもかねて言動を不安視されていた。それでも首相が登用したのは、総裁選の論功行賞を優先し、資質や適性は二の次にしたと見ざるをえない。大臣の職務も国民からの負託も軽んじる首相の任命責任は極めて重大だ。

 今国会では、閣僚の問題の影に隠れる形で、森友・加計問題の解明が一向に進んでいない。首相は、自らもまた重い説明責任を負っていることを忘れてはならない。

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