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 太陽光や風力発電の施設が増えるにつれて、地元で問題視される事例も目立つようになってきた。二酸化炭素を出さない再生可能エネルギーの普及は、社会全体で取り組むべき課題だ。地域社会と共生できるよう、対策を急ぐ必要がある。

 この数年で急拡大した太陽光発電をめぐる住民トラブルは、森林を切り開いた施設で土砂災害が起きる、景観が悪くなる、反射光が住宅に差し込む、といった理由のものが多い。風力でも、騒音などを心配する住民の反対運動が起きている。

 今年相次いだ豪雨や大型台風では、太陽光パネルが飛ばされたり、土砂崩れや水没で設備が壊れたりする事故が各地で発生した。事故の報告義務がある出力50キロワット以上の事業用太陽光だけで約40件にのぼる。発電用風車の倒壊もあった。

 一部であっても、こうした問題に対処できなければ、地元の理解は得にくくなる。再エネの「主力電源化」は国の政策にも位置づけられており、官民双方に対応が求められる。

 まず問われるのは、新規参入が多い事業者の姿勢だ。安全や環境に関する法令や基準を守るのは当然のことである。施設や社内体制に不備がないか、確認してほしい。開発を進める際、住民や自治体への説明や対話をていねいに行うことも大切だ。

 政府や自治体は監督・指導を強化し、設置や安全性の基準も見直すべきだ。小規模な太陽光には基準はあるものの、チェックの仕組みがなく、強度を満たさない設備もあるとみられる。事業者に点検を求める、行政が監視体制を整え、必要に応じて立ち入り検査をする、といった対応が考えられるだろう。

 政府が導入を検討している大型太陽光の環境影響評価も、環境への配慮や住民の不安解消の面で、効果が期待できる。自然や生活環境の保全と再エネ拡大を両立できるような、合理的な規制にする必要がある。

 土地利用に伴うあつれきの種をあらかじめ取り除く試みとしては、「ゾーニング」と呼ばれる手法が注目されている。自治体などが地元の状況を調べ、開発を積極的に進めてよい区域、関係者との調整が必要な区域、開発を認めない区域に分けるやり方だ。あわせて、事業者が配慮すべき点も整理しておく。

 再エネの普及で先を行く欧州などで広がっており、国内でも一部の自治体が主に風力で取り組んでいる。社会にとって有益な事業を、地域と共生しながら促進するための工夫を、各地に広げたい。

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