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 自然災害が相次いだ今年、被災した自治体で復興作業にあたる職員が不足している。生活再建を円滑に進めるためにも、手当てを急ぐ必要がある。

 北海道地震の発生から来月6日で3カ月になる。現地では、土砂崩れで通れなくなった道路や河川堤防などの補修が本格化している。ところが、被災直後に他の自治体からかけつけた応援職員が去った後、さまざまな作業が停滞気味だという。

 とりわけ、被害程度の査定や建造物の設計などを担当する技術系の職員が足りない。道は全国知事会を通して、林業職や土木職などの職員の応援を各都府県に要請した。

 冬本番を控え、復旧の遅れはくらしを直撃する。問題は、西日本豪雨や台風被害への対応も途上で、人手不足に悩んでいるのは北海道に限らないことだ。

 土砂災害が約1200カ所に及んだ広島県は、100人の応援を他の自治体に求めたが、派遣されてきたのは55人だった。岡山、愛媛両県も同じような状況だ。全国知事会によると、要請数に対する派遣率は5~6割にとどまるという。

 OBを再任用したり、民間の企業・団体に協力を求めたりして、少しでも穴を埋めることはできないか。来春の採用予定者の手を借りる方法もある。すでに実施している自治体の例も参考にしながら、柔軟な人繰りに努めてもらいたい。

 東日本大震災の後、全国の自治体で災害時の相互支援の動きが広がった。岩手、宮城、福島の各県では今年4月時点で計約1500人の応援職員が働き、おととしの熊本地震、昨年の九州北部豪雨の被災地にも長期間派遣されている人たちがいる。自治体職員の総定員が減り、ただでさえ余力がないなか頑張ってきたが、そこをさらに大規模な災害が襲った格好だ。

 先日開かれた全国知事会議では窮状を訴える声が続出した。政権は「国土強靱(きょうじん)化」を掲げ、被災地の一刻も早い復興を唱えている。そうであるならば、予算をつけるだけでなく、現場の切実なニーズを受けとめて対策を練る必要がある。

 各省庁には地方の出先機関を含めて一定数の技術職がいる。縦割りを排して調整を進め、被災地へのいっそうの職員派遣を考えてはどうか。工事の申請手続きを簡素化して現場の負担を軽くするなど、別の角度からの支援策も工夫してほしい。

 きめの細かな作業の積み上げは、南海トラフ地震や首都直下地震などへの備えを進めることにもつながるはずだ。

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