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 国会の自殺行為ではないか。

 出入国管理法改正案の衆院通過に向けて、自公両党が突き進んでいる。きのうは自民党の委員長が職権で法務委員会を開催し、野党欠席のまま議事を強行した。27日の本会議で一気に可決して参院に送る構えだ。

 朝日新聞の社説は、外国人労働者の受け入れ拡大に反対しているのではない。だが従来の政策を大きく転換するのだから、相応の覚悟と国内の態勢の整備が当然求められる。さまざまな観点から議論を重ね、疑問や懸念を消していかなければ、将来に大きな禍根を残す。

 ところが与党は、月末から安倍首相が外遊するので、とにかく急がなければならないと繰り返す。国会は首相の都合で動く下請け機関なのか。

 そもそも審議がスムーズに進まない原因をつくっているのは政府自身ではないか。

 外国人をどんな業種に、どれほどの規模で受け入れるのか。制度の根幹に関わる話なのに、政府が見込み数などを示したのは、本会議で趣旨説明がされた後だった。しかも根拠の妥当性は今もって不明だ。

 新設される「特定技能」資格と、現にある技能実習制度との関係も依然はっきりしない。

 政府は、新資格者の約半分、業種によっては全員が技能実習から移ってくる見通しだという。密接な関係にあるのは明白なのに、山下貴司法相は「二つは異なる制度で密接不可分ではない」と言い張り、実習制度が抱える問題の精査を拒む。

 かと思うと、改正法の成立・施行を急ぐ理由を問われて「来年4月より遅れれば、万単位の方々(実習生)が帰国してしまうから」と答える。支離滅裂ぶりは目を覆うばかりだ。

 信じがたい答弁もあった。

 日本で永住許可を得られる条件の一つとして、就労資格を持って5年以上在留することが定められている。だが法相は、特定技能の資格で働く最初の5年間は、この期間に含めないことを検討していると述べた。

 労働者だが「就労」はしていない。そんな話が通用するだろうか。新制度は移民の受け入れではないという無理な説明が、さらなる無理を生み、収拾不能に陥っている。

 日本語教育を始めとする支援態勢をどう整えるか。自治体の役割は。政府が約束する「日本人と同等以上の賃金」をどうやって保証するのか。これら重要な論点についても、国会ではまだほとんど審議されていない。

 立ち止まって議論を尽くす。その見識を与党に求める。

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