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 国有地をなぜ、8億2千万円も値引きして売ったのか。その過程を記した決裁文書を財務省が改ざんしたのは、何を守るためだったのか。

 国民、そして納税者が最も知りたいことは、会計検査院が足かけ1年半以上を費やした検査でも、明らかにならなかった。

 森友学園への国有地売却問題を調べていた検査院が、59ページにわたる追加検査の結果を国会に提出した。改ざんする前の決裁文書や、森友側との担当者の交渉記録など、昨年の検査の際には提出されていなかった文書を分析したという。

 検査院は昨年11月にまとめた報告書で、国有地を値引きした根拠に疑問を投げかけた。しかし関連文書が破棄されるなどして、「検証を十分に行えない」としていた。新たな文書を入手した今回は、問題を解明する好機だったはずだ。

 ところが検査結果には、事実が羅列されているばかり。問題の所在は浮かんでこない。

 土地取引について、複数の政治家の秘書らが関与した事実が決裁文書から削られたことは取り上げながら、その理由には踏み込んでいない。値引きの根拠になった地下のごみの深さに疑義が示されているのに、事実関係にも触れなかった。

 財務省が改ざんした決裁文書を検査院に提出した行為は、会計検査院法に違反すると認定した。しかし、なぜ改ざんしたのか、どのような背景があったのかには言及がない。

 安倍首相の妻の昭恵氏が名誉校長を務めていた学園に対し、国有地が大幅に値引きされて売却された事案だ。昭恵氏のかかわりの有無という最大の焦点を素通りしては、一部の官僚の問題とした財務省の内部調査と同じではないか。

 今回の検査は、国会の要請を受けて「文書の改ざんが昨年の報告書の信憑(しんぴょう)性に影響を与えたか」を調べるものという。通常の検査とは異なり、結果は一般には公開しない。しかし検査院自身が認めるように、国民の関心は極めて高い。ホームページなどで公表するべきだ。

 森友問題では公文書が改ざんされ、国会でうその答弁が繰り返された。なぜそんなことがまかり通ったのか。核心を明らかにしないまま、問題を終わりにすることはできない。

 先の通常国会の後、大島理森・衆院議長は「国民の負託に十分に応える立法・行政監視活動を行ってきたか、検証の余地がある」と指摘した。国会は、その責務の重さを自覚し、行動に移さねばならない。

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