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 誘致合戦に勝った。関係者はお祝いムードにあふれる。だが課題は多く、懸念も根強い。

 2025年の国際博覧会(万博)が大阪市で開かれることになった。国内での大規模万博は1970年の大阪、05年の愛知につぐ。高度成長から人口減と高齢化へ、日本の状況が大きく変わるなかでの開催となる。

 会場は、大阪湾岸部で造成中の人工島「夢洲(ゆめしま)」。70年代後半に埋め立て工事を始めたが、バブル崩壊で開発計画が塩漬けになり、08年夏季五輪を誘致して活用する構想もかなわなかった「負の遺産」である。

 その夢洲での会場整備に1200億円強を投じる計画で、地下鉄延伸や橋の拡張など関連事業にも700億円超を見込む。国や経済界の支援はあるが、大阪府と市の負担は軽くない。入場料でまかなう予定の運営費を含め、住民にしわ寄せをしないことは行政の務めである。

 心配なのは、博覧会の理念や構想の具体像がはっきりしない一方で、開催に伴う経済波及効果を強調する声が前面に出ていることだ。

 2度目の大阪万博の標語は「いのち輝く未来社会のデザイン」。関西の産学が築いてきた生命科学の蓄積を生かし、急速な少子高齢化に直面する日本から社会課題の解決策を発信する。そう説明されるが、中身はぼやけたままだ。

 万博誘致は14年、大阪維新の会の橋下徹・大阪市長(当時)や松井一郎・大阪府知事が、地元経済活性化への起爆剤として打ち上げたのが発端だった。維新との関係を重視する安倍政権が、20年の東京五輪後の景気維持策にもなると見て構想に乗り、昨年4月に閣議了解した。愛知万博は地元合意から閣議了解まで7年をかけており、あまりに対照的だ。

 「経済」が先行する万博と一体で位置づけられているのが、カジノを含む統合型リゾート(IR)である。

 大阪府・市は、夢洲の一角、万博会場の隣接地への誘致を狙う。地下鉄など万博に備える夢洲への交通網は、IRなくして利用者の伸びを期待できない。地下鉄建設費の一部をカジノ事業者に負担させる案もある。

 カジノにはギャンブル依存症の患者を増やす恐れがつきまとう。「命」や「健康」をテーマに掲げる万博と矛盾しないのか。そんな指摘も出ている。

 さまざまな疑問や懸念にしっかりと向き合い、説明を尽くし、納得できる回答を示す。大阪府と市には、政府とともにその責任が問われる。

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