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 かつてないほど、大きな自然災害が相次いでいる。東日本大震災の復興が続くなか、熊本地震、九州北部豪雨があった。ことしは西日本豪雨や大阪北部地震、北海道地震に見舞われた。

 各地で避難を強いられる人々が続出したことで、暮らしを支える制度の手薄さ、頼りなさがあらわになっている。何とかしなければならない。

 こんな現場の声を受け、全国知事会は支援策を拡充する提言をまとめ、先週、山本順三防災担当相に実現を要請した。

 被災者生活再建支援法に基づく金銭支給の対象を、これまでの住宅の全壊、大規模半壊だけでなく、半壊世帯にも広げるという内容だ。

 支給額は、全壊が最大300万円、大規模な補修をしないと住めない大規模半壊が最大250万円である現状とのバランスを考え、一律50万円にした。

 金額については、住宅の耐震化や地震保険への加入など、個人として対策をとっている人が不公平感を抱かないよう、慎重な検討が要るかもしれない。

 しかし、半壊世帯への対象拡大は、被災地の切実な求めに応じたものだ。阪神大震災を機に議員立法でできた支援法の改正に、与野党は速やかに乗り出すべきである。

 支援金の財源は、都道府県による基金と国の補助金が半分ずつだ。知事会の試算では、50万円とした場合の年間必要額は32億円で、国の負担増は16億円となる。「国土強靱(きょうじん)化」の旗を振り、新たに2次補正予算も組む政府が支出をためらう金額ではあるまい。

 支援法の支援額は当初、最大100万円だったが、その後に300万円に増やすなど、改善を重ねてきた。

 だが、東日本大震災では批判にさらされた。約28万戸にのぼった半壊世帯に一銭も出ない「線引き」は、役所的な切り捨てだとの不満が渦巻いた。

 半壊であっても、実際には生活できない住宅も多く、被災地では「半壊の涙」という言葉もささやかれた。

 今回の知事会案は、この涙をなくす一歩になる。

 被災者支援をめぐっては、損壊の基準を全壊、半壊といった大まかなものではなく、もっと細分化して、多段階の援助をすべきだとの意見が根強い。

 東北の被災地からは、支援額の上限を500万円に上げた方が、仮設住宅を建てるより効率的だとの提言も出ている。

 いまの支援策にはまだまだ改善の余地が多い。被災状況に応じた進化が求められている。

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