[PR]

 新規制基準に適合ずみの原発について、自然災害の影響を改めて評価し直す。原子力規制委員会が、そんな異例の決定をした。関西電力の美浜、大飯、高浜の3原発(いずれも福井県)をめぐって、火山の噴火に関する新事実が浮かんだためだ。

 安全を最優先にするうえで当然の判断である。

 関電は当初、文献調査や地質調査、200キロほど離れた大山(だいせん)(鳥取県)の噴火シミュレーションなどをもとに原発内の降灰量を10センチ程度と想定し、「安全性に問題はない」とした。

 この評価を規制委も認め、すでに大飯3、4号機と高浜3、4号機が再稼働している。

 だが、規制委の審査後、大山から190キロの京都市内で30センチの火山灰の層が見つかった。約8万年前に大山が噴火した際のものとみられる。

 関電は、他の場所からきた灰が混ざっていることなどを理由に、「火山灰の厚さを評価できない」と主張した。これに対して規制委は、現地調査をして火山灰の層が25センチあることを確認し、噴火の規模が想定より大きいことを認めた。これが異例の決定の経緯だ。

 降灰量が増えると、万が一の際の命綱である非常用発電機が正常に作動しない恐れがある。新たな事実がわかった以上、各原発でどれだけの降灰を想定するべきかを再評価し、さらなる対策の必要性を検討するのは自然な流れである。

 既存の原発にも最新の安全策を反映させる「バックフィット制度」は、新規制基準の重要な柱の一つだ。規制委が新事実に反応し、その影響を再評価すると決めたのは、新しいルールに則した対応といえる。火山噴火に限らず、地震や津波など幅広い自然災害についても同様の姿勢で臨んでほしい。

 その一方で規制委は、現在の3原発の火山灰対策に一定の余裕があることから、運転中の4基の停止までは求めない見通しだ。しかし、今後、安全を脅かす事実が明らかになった場合には、運転中の原発を止めることをためらってはならない。

 地震や津波、火山噴火の知見は、新たな研究や調査によって変わりゆく。今回の関電の対応は、都合の悪い新事実から目をそらすものだと批判されてもしかたがない。電力各社は常に最新情報の収集を怠らず、安全性を左右する新事実には謙虚に向き合うべきだ。

 バックフィット制度は福島第一原発の事故を教訓に、安全を担保するために導入された。そのことを忘れてはならない。

こんなニュースも