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 北朝鮮が大陸間弾道ミサイルを最後に打ち上げてから1年がたった。核実験の動きもなく、軍事挑発は止まっている。

 この間に北朝鮮は、米国との関係改善と、国内経済の再建をめざす方針を示してきた。だが進展は大きいとは言えず、その真意も見えていない。

 大量破壊兵器の開発に国際社会は厳重な警告を長年発してきた。この1年の停止で姿勢を評価するのは早計であり、何より開発済みの装備や施設、技術が明かされていないままだ。

 孤立を脱する意思が真剣ならば、北朝鮮は非核化へ行動をおこさねばならない。核の情報公開と廃棄の工程表をつくる一歩を踏み出さない限り、国の再建に展望はないと悟るべきだ。

 昨年11月のミサイル発射後、北朝鮮は米本土全域を攻撃できるようになったと発表した。金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長は「国家核武力完成という歴史的大業」を遂げたと自賛した。

 核開発と経済再建の両方を追う「並進路線」の終了を告げたのは4月。今後は経済に総力をあげるとし、その後、朝鮮半島の非核化への努力も表明した。

 好条件さえ整えば核兵器を手放す覚悟を決めたのか、非核化の表明は偽装で単なる時間かせぎなのか。その意図をめぐっては多くの推察が飛び交う。

 ただ、金正恩氏はそれまでにない積極的な対話姿勢に出た。中国、韓国の首脳とそれぞれ3回会談し、6月には史上初の米朝首脳会談を実現させた。

 北朝鮮は今年に入り、中国企業などの投資誘致にも乗り出している。まるで「ふつうの国」のように政治対話と経済交流を深め、やがては国際金融機関の大型融資を引き出したい――北朝鮮の思惑について、そんな見方が強まっている。

 しかし、それには国際制裁の解除が条件となる。中国やロシアはこの1年の進展を理由に制裁の緩和に前向きな姿勢をみせているが、非核化の道筋が見えていない間は不適切だ。

 アルゼンチンで開かれたG20会合を機に、各国首脳は北朝鮮への向きあい方について意見を交わしている。米韓首脳は、非核化が達成されるまで制裁を続けるのが重要との認識で一致した。金正恩氏との次の会談を準備している2人が原則を確認したのは、評価できる。

 北朝鮮を対話の席につかせられたのは、国際社会の結束がかつてなく固かったからだ。朝鮮半島の緊張を再び高めることなく、いかに非核化につなげていくか。各国首脳は改めて歩調を合わせる必要がある。

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