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 鷲(わし)と竜の対立に、終わりはあるのだろうか。先行きの不安と世界は背中合わせのままだ。

 トランプ米大統領と習近平(シーチンピン)・中国国家主席が会談し、ひとまず歩み寄りを演じた。貿易問題について今後90日間という期間を設け、交渉を約束した。

 2大国の報復合戦は世界経済に重い影を落としている。両首脳が対話を続ける合意をしたのは評価できるが、対立点は何も解消されていない。

 単なる問題の先送りにしてはならない。この猶予期間は、両国が責任を自覚し、長期的に関係の安定をめざす道筋を熟考する機会としてもらいたい。

 米側によると、中国が技術移転を外国企業に強制している問題や、知的財産権の保護、サイバー攻撃など、五つの分野で協議する。米国は来月1日の制裁関税引き上げを見合わせる。

 しかし、90日の間に合意できなければ、米国は引き上げに踏み切る。つまり事実上、追加関税までに当面の時間を稼いだ、ということだ。

 来春に向け、米中の緊張が再び高まるか否かは、まず中国の動き次第だ。中国が外国の先進技術を広範な手段で獲得してきたことについては、日本を含む多くの国も問題視してきた。中国市場の構造改革は、国際社会の要請と受けとめるべきだ。

 一方の米国は、性急な制裁を乱発して対立をあおるやり方を控えねばならない。

 米国は中国政府による自国のハイテク企業などへの補助金にも、強い不満を抱いている。確かに市場をゆがめる問題だが、その背後には政治と経済が一体化した中国特有の体制がある。現実を踏まえ、時間をかけて是正に取り組むべきだろう。

 米中摩擦の土台には根源的な問題があり、近い将来に両国関係が打開するとの見方は少ない。むしろ、安全保障や技術力などを含む覇権争いは避けられず、貿易問題はその一部に過ぎないとの悲観論が根強い。

 先月のアジア太平洋経済協力会議は、首脳宣言を出せなかった。今回のG20会合も、「保護主義と闘う」との文言を盛り込めなかった。いずれも米中間のさや当てが背景にあった。

 世界はこれからも、米中の大国のエゴに振り回される場面が続きそうだ。国際社会は、米中の国力ではなく、世界の平等なルールのもとで秩序を保つ覚悟が求められており、すべての国の努力が必要だろう。

 とりわけ第3の経済大国日本の責任は重い。米中両首脳に対しては、機会あるごとに大局的な判断を促し続けるべきだ。

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