[PR]

 制度の穴をふさぐねらいは、間違っていない。ただ、乱暴なやり方で、再生可能エネルギーの拡大の芽を摘み取ってしまっては、元も子もない。見直しは幅広い関係者の声を聞き、注意深く進めるべきだ。

 再エネの固定価格買い取り制度(FIT)について、経済産業省が10月に示した見直し案に対し、太陽光発電の事業者や取引金融機関から異論が噴出している。電気を買い取ってもらえる価格の引き下げで採算が悪化し、多くの事業計画が稼働前に頓挫する恐れがあるという。

 経産省の案は、買い取り価格が特に高かった12~14年度に適用の認定を受け、まだ発電を始めていない事業を対象とする。今年度中に送電線接続工事の申し込み手続きを終えないと、価格を大きく下げる内容だ。

 FITは12年の導入以来、再エネ普及の原動力となってきた。一方、費用は電気料金に上乗せされ、家庭や企業の負担は年2兆円余りに増えている。

 制度の見直しには、認定から時間がたつのに稼働していない案件を減らす、発電コストの低下を買い取り価格に反映させて国民負担の増大を抑える、というねらいがある。

 今回対象にする12~14年度に認定された分のうち、未稼働は4割にのぼる。中には、太陽光パネルの値下がりを見越して工事を遅らせ、大きな利益をねらう事業者もいるといわれる。

 だが、是正のやり方は性急で粗いと言わざるを得ない。

 減額対象にされるまでの時間が短く、事業者の対応は難しい。遅れの事情も考慮しておらず、電力大手が持つ送電線の増強や自治体の手続きに時間がかかるなど、特段の落ち度がない事業者にも広く不利益が及ぶ。

 国が一度約束した条件を後から変えるのは異例であり、恣意(しい)的に行えば、制度への信頼は傷つく。関係業界からは「事業環境が見通せなくなり、再エネ普及に大きな悪影響を及ぼす」と懸念する声が出ている。

 混乱の主な原因は、経産省が見直し案をつくる過程で、業界の実情を十分把握していなかったことにある。要望に耳を傾け、案を練り直すのは当然だ。事業の進み具合や遅れの原因をきめ細かくくみ、減額対象を絞り込む、猶予期間を十分とる、などの対応が必要だろう。

 FITは今後も状況に応じた見直しが必要になるが、検討の際には影響の見極めが欠かせない。社会全体のコストをできるだけ抑えつつ、再エネの主力化を着実に進めるという、大きな目的を忘れてはならない。

こんなニュースも