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 G20サミットに合わせ、安倍首相、トランプ米大統領、インドのモディ首相による初めての日米印首脳会談が先週、開かれた。3者は、日米が掲げる「自由で開かれたインド太平洋」構想の重要性を確認した。

 この考え方は安倍首相が16年に打ち出し、翌年のトランプ氏との会談で、日米共通の外交方針とされた。インド洋から太平洋にかけて、影響力を増す中国を牽制(けんせい)する狙いがある。

 ただ、より重視すべきなのは、世界の成長センターであるこの地域に、健全な国際秩序を形づくることだろう。だとすれば、この枠組みを、文字どおり「自由で開かれた」ものとしなければならない。

 中国への対決色が強まれば、地域に分断を生み、平和と繁栄の土台づくりが進まなくなる。「一帯一路」への対抗や、中国封じ込めの装置として考えるのは誤りだ。

 日本政府は最近、インド太平洋「戦略」という元々の呼び名を「構想(ビジョン)」に改めた。ASEAN諸国などが受け入れやすいよう配慮したものだ。日米同盟を基軸としつつ、中国とも一定の協調を保ちながら、安定した秩序につながる具体的な行動を求めたい。

 日米との首脳会談に応じたインド自身、中国とのバランスをとっている。同じ日に中国の習近平(シーチンピン)国家主席、ロシアのプーチン大統領との中ロ印首脳会談を行ったのはその表れだろう。

 インドは、中国が主導するAIIB(アジアインフラ投資銀行)に参加し、中ロを中心とした上海協力機構にも昨年、正式加盟した。「非同盟」の伝統を持つだけに、一方への肩入れは避けているようだ。

 状況が複雑だからこそ、判断の軸に普遍的な価値を置くことが大きな意味を持つ。

 日本政府はインドとの関係について、自由、民主主義、法の支配といった価値の共有を強調する。一方で、核不拡散条約(NPT)に加盟しないまま核兵器を開発・保有したにもかかわらず、日本の原発輸出に道を開く原子力協定を結んだ。

 そのときの都合によって原則を曲げるようでは、国際社会の信頼は得られまい。

 従来の秩序が動揺し、自国の利益を優先する一国主義や独裁・権威主義が幅をきかせるなか、国際協調や多国間主義を重んじる姿勢が一層、重要となっている。

 問われるのは、だれと組むかだけではない。自らが掲げる価値を大切にすることが、今後の日本外交の基礎となる。

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